クレジットカードで利用した料金を支払う際、支払い方法によっては手数料が発生します。
無計画に使うと、知らない間に高額な手数料がかかってしまうおそれがあるので要注意です。
また、クレジットカード払いを導入している加盟店も手数料を支払っています。
手数料を払ってでも、クレジットカード払いを導入するのはなぜなのでしょうか。
本記事ではクレジットカードの手数料について、消費者と加盟店のそれぞれの観点で仕組みを解説します。
- 消費者の支払う手数料と加盟店が支払う手数料がある
- 消費者が支払うのは分割払いとリボ払いの手数料
- 分割払いは回数が多くなるほど手数料が増える
- リボ払いは返済期間が長くなるほど手数料が増える
- 加盟店が支払うのは加盟店手数料
- 手数料を支払ってでも加盟店になるメリットがある
クレジットカード決済の仕組み
画像引用元:クレジットカードの仕組みとメリットとは? |クレジットカードの三井住友VISAカード
クレジットカードの手数料について知るためには、まずクレジットカード決済の仕組みを知る必要があります。
そこで、クレジットカードで料金を支払った際の決済の流れをざっくりとまとめてみました。
- 消費者がクレジットカードで商品を買う
- 加盟店がカード会社に代金を請求する
- カード会社が加盟店に代金を支払う
- 消費者がクレジットカード会社に代金を支払う
本来、消費者が加盟店に支払う料金をクレジットカード会社が立て替えているわけですね。
その際、手数料が発生するタイミングが大きく分けて2つあります。
1つは消費者がクレジットカード会社に代金を支払う④のタイミング。クレジットカードで商品を購入する際に、支払い方法によっては手数料がかかります。
もう1つは③のタイミングです。カード会社から加盟店に代金が支払われる際は、手数料が引かれた代金が支払われます。
それでは「消費者」と「加盟店」に分けてクレジットカードの手数料について詳しく見ていきましょう。
消費者にかかる手数料
画像引用元:リボ払いと分割払い|クレジットカードの三井住友VISAカード
クレジットカードを利用して買い物をする消費者が支払う手数料には「分割払い(3回以上)」と「リボ払い」の手数料があります。
分割払いは分割払いは回数が多くなるほど、リボ払いは返済期間が長いほど手数料が高いです。
特にリボ払いは計画的に利用しないと、高額な手数料を支払うことになりかねません。
分割払いやリボ払いは、手数料についてしっかり理解したうえで使いましょう。
なお、1回払いおよび2回払いの場合は手数料は一切かかりません。
分割払いは回数が増えるほど手数料が高い
画像引用元:ショッピング分割払いのお支払い方法|クレジットカードなら、JCBカード
分割払いはその名の通り複数回に分けて代金を支払う方法です。
例えば60,000円の商品を6回払いで買うと、10,000円の返済を6ヶ月かけて行います。
分割払いの中でも2回払いのみ手数料がかかりません。
手数料がかかるのは3回以上の回数に分ける場合です。
手数料はカード会社によりますが、分割回数が多くなるほど手数料が高くなります。
例として、三井住友VISAカードの分割払いの手数料を見てみましょう。
支払い回数 | 実質年率 | 100円当たりの手数料 |
---|---|---|
3回 | 12.00% | 2.01円 |
5回 | 13.25% | 3.35円 |
6回 | 13.75% | 4.02円 |
10回 | 14.25% | 6.70円 |
12回 | 14.50% | 8.04円 |
15回 | 14.75% | 10.05円 |
18回 | 14.75% | 12.06円 |
20回 | 14.75% | 13.40円 |
24回 | 14.75% | 16.08円 |
実質年率は1年間借りることを想定した利率です。
実際の手数料を計算する際は「100円当たりの手数料」を使います。
三井住友VISAカードを使って5万円の商品を分割払いで購入するとします。
3回払い、10回払い、20回払いで支払った際のそれぞれの手数料総額は以下の通りです。
- 3回払いの手数料総額:50,000円×(2.01/100)=1,005円
- 10回払いの手数料総額:50,000円×(6.70/100)=3,350円
- 20回払いの手数料総額:50,000円×(13.40/100)=6,700円
分割回数が多くなるほど手数料総額が増えているのが分かります。
3回払いなら1,005円で済みますが、20回払いでは6,700円と高額です。
分割回数を増やした方が1ヶ月の負担額は少なくなりますが、手数料を含めたトータルの支払い額は多くなります。
できる限り少ない回数で購入するのが賢明ですね。
リボ払いは返済期間が長いほど手数料が高い
画像引用元:リボ払いのメリットやご利用方法|クレジットカードの三井住友VISAカード
リボ払いは利用した金額に関係なく、毎月一定額を返済する支払い方法です。
例えばリボ払い返済額を10,000円に設定し、50,000円の買い物をした場合は10,000円+手数料を残高がなくなるまで毎月返済します。
リボ払いの手数料はカード会社によって異なりますが、年率15%くらいが一般的です。
毎月の手数料は「利用残高×金利×利用日数/365日」という式で計算されます。利用日数は返済日の翌日~次回返済日までの日数です。
例として、年率15%、返済額10,000円のリボ払いで50,000円の商品を買う場合の手数料を計算してみます。
なお、計算を簡単にするために利用日数はすべて30日とします。
経過月数 | 支払い額 | 手数料 | 残高 |
---|---|---|---|
1ヶ月目 | 10,000円 | 616円 | 40,616円 |
2ヶ月目 | 10,000円 | 500円 | 31,116円 |
3ヶ月目 | 10,000円 | 383円 | 21,499円 |
4ヶ月目 | 10,000円 | 265円 | 11,764円 |
5ヶ月目 | 10,000円 | 145円 | 1,909円 |
6ヶ月目 | 1,909円 | 24円 | 0円 |
この例の場合、利用額は50,000円ですが1,909円の手数料を余分に払うことになります。
リボ払いは返済期間が長くなればなるほど手数料がかかります。
カードによっては途中で一括払いに変更できるので、可能なら一括返済がおすすめです。
一括払いにできない場合も、毎月の返済額を増やして支払い回数を減らせば手数料も減らせます。
次の章では加盟店が支払っているクレジットカードの手数料について解説します。
クレジットカード発行会社ランキング|それぞれの特徴と違いを解説
加盟店にかかる手数料
消費者がクレジットカードを利用すると、加盟店側では「加盟店手数料」が発生します。
各お店はクレジットカード会社と加盟店契約を結び、一定の手数料を支払うことでクレジットカード決済を可能としています。
加盟店手数料は支払い方法に関係なく、クレジットカードで支払われるたびに発生します。
クレジットカード会社にとっては加盟店手数料が大きな利益なわけですね。
加盟店手数料の金額
加盟店手数料はブランドや業種、お店の規模などにもよりますが利用料の3~7%ほどです。
お店はクレジットカード決済を行う度に加盟店手数料を払わなければならず、コストがかかってしまいます。
加盟店手数料を客に請求するのは規約違反
加盟店手数料は加盟店が負担するのが決まりです。
加盟店手数料を消費者に負担することはクレジットカード会社の規約で禁止されています。
例えばセゾンカードは利用規約で以下のように規定しています。
「有効なカードを提示等した会員に対して、手数料その他名目の如何を問わず、現金払い顧客と異なる代金を請求するなど、会員に不利となる差別的な取扱いを行わないこと」
セゾンカード加盟店規約より引用
仮にクレジットカード利用者に加盟店手数料を負担させると、現金払いの利用者より支払額が多くなってしまいます。
つまり“現金払い顧客と異なる代金を請求する”ことを禁止とは、加盟店手数料を消費者に請求することを禁止していますということです。
もし手数料を請求された場合は、カード会社に連絡しましょう。正当な対応を行ってくれます。
クレジットカードの加盟店になるメリット
消費者がクレジットカード払いをするたびに、加盟店は加盟店手数料を支払います。
一方、現金払いならそういった手数料はかからないので、支払い額がすべてお店の売り上げになります。
とすれば、クレジットカード払いはお店にとっては不利ですよね。
しかし、クレジットカード加盟店になることには以下のようなメリットもあります。
- 新規顧客の獲得
- 利用単価の増加
- 現金の管理がしやすくなる
新規顧客の獲得
お店がクレジットカード払いを導入する最大のメリットは新規顧客を獲得できることです。
現金払いしか利用できないお店だと、現金払いを利用する人しか訪れません。
最近は現金をほとんど持ち歩かず、クレジットカードでのみ決済を行う人も多いです。
キャッシュレス化の流れに乗って、クレジットカード利用者も増えているでしょう。
そういった人にとっては現金のみのお店は利用しづらいです。
クレジットカードに対応すれば、現金払いの人はもちろんクレジットカードで支払いをしたい人もお店を利用しやすくなります。
クレジットカードに対応すると今まで利用してくれなかった人が利用してくれるようになる、つまり新規顧客の獲得につながるというわけですね。
利用単価の増加
クレジットカード払いを導入すると、消費者の利用単価の増加が期待できます。
要するに、お店に来たお客さんがよりたくさんのお金を使ってくれるということです。
現金払いの場合、今手元にある金額でしか買い物ができません。
消費者が欲しいものを見つけても、現金が足りず諦めることがあります。
一方、クレジットカード払いなら手元に商品の代金分の現金がなくても買い物できます。
現金払いよりも、より多くのお金を使ってくれる可能性が高いわけですね。
また、クレジットカードなら一括払いだけでなく分割払いやリボ払いも使えます。
一括で買いにくい高額な商品でも、分割やリボ払いによって購入してくれる可能性が高まります。
加盟店手数料を支払う必要が出てきても、それ以上に利用単価が増加すればトータルの売上はアップします。
現金の管理がしやすくなる
クレジットカード払いを導入すると現金の管理がしやすくなります。
支払い時におつりが出ないため、おつりを間違えたりおつり用の現金が不足する心配がありません。
また、高額な現金をレジに置かずに済むので、強盗などの被害に遭うリスクも減らせます。
直接売上がアップするわけではないものの、結果的には売上増につながる可能性があるのです。
クレジットカードの手数料を理解して計画的に使おう
本記事ではクレジットカードの手数料について、消費者と加盟店の両方の観点から解説しました。
- 消費者の支払う手数料と加盟店が支払う手数料がある
- 消費者が支払うのは分割払いとリボ払いの手数料
- 分割払いは回数が多くなるほど手数料が増える
- リボ払いは返済期間が長くなるほど手数料が増える
- 加盟店が支払うのは加盟店手数料
- 手数料を支払ってでも加盟店になるメリットがある
消費者側は分割払い(3回以上)やリボ払いを利用したときのみ手数料がかかります。
一括払いや2回払いでは手数料がかからないので、余裕があるときは一括払いか2回払いで支払うのがおすすめです。
どうしても3回以上の分割やリボ払いを使用する時は手数料を考慮し、計画的に使いましょう。
クレジットカード会社のサイトでは手数料を含めた支払いシミュレーションができるので、うまく活用してください。
一方、加盟店はクレジットカード払いを利用される度にカード会社に手数料を払っています。
現金払いと比べると手数料分だけコストが増えますが、新規顧客の獲得や利用単価の増加といったメリットもあります。
こういったメリットのために、クレジットカード払いを導入しているわけですね。
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