完済したカードローンを解約すべきか、手元に残しておくべきか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
カードローンの解約と完済は異なるものです。完済後はカードローンを速やかに解約することで、様々なメリットを得られます。
本編では、カードローンの完済と解約の違いや解約方法、解約のメリットやデメリットなど、「カードローンの解約」にまつわるトピックスを解説します。
この記事を読めば、カードローンを解約すべきか否か自信をもって判断できるようになります。
- あらかじめ借入残高を返済しておく必要あり
- 住宅ローンなどで有利に働く可能性あり
- 解約しておかないと無駄な借入れにつながるおそれあり
- 再契約できるとは限らないので考えなしに即時解約するのはNG
カードローンの解約と完済は違う
カードローンを完済すれば、それでカードローンの契約は終了するのでしょうか。
冒頭でもお伝えした通り、カードローンの解約と完済は異なります。
カードローンの解約と完済について、それぞれ解説します。
ローンの解約とは
カードローンの解約とは、金融機関とのカードローン契約を終了させることをいいます。
カードローンを解約すれば、カードローン契約が終了している以上、それ以降に新たに借入れすることは不可能となります。
カードローンの完済とは
カードローンの完済とは、契約中のカードローンの借入残高を全て返済したことをいいます。
カードローンを完済すれば、もちろんその金融機関に対する借金は残っていない状態です。
しかし、別途カードローンの解約手続きをしなければ契約自体は継続しています。
カードローンは、極度貸付方式の契約です。
あらかじめ定められた限度額(極度額)の範囲内であれば、いつでも・何度でも借入れすることができる方式
そのため、完済して一時的に借入残高がなくなっていても、解約していなければ限度額の範囲内であれば新たに借入れることが可能です。
カードローン解約の手順
カードローン解約の手順は、主に以下のステップで進めます。
店頭窓口やインターネットで受付する会社もあります。各社の手続きは次の章で解説します。
- カードローンの完済日を決める
完済時には、その返済予定日付の日割り利息を含めて返済する必要があります。あらかじめ完済日を決めて、余裕のある金額を準備しておきましょう。 - カードローン専用カードを手元に準備してコールセンターに電話する
オペレーターに会員番号を尋ねられます。 - オペレーターに完済したい旨と、解約したい旨を伝える
事前に決めておいた完済日を伝えれば、正確な返済金額を教えてくれます。解約についての注意点などの案内を受けて手続きが終了します。
カードローンの解約方法 各社一覧
完済後に金融機関に連絡して解約の意思を伝える、という大まかな流れは各社共通ですが、会社によって具体的な手続きは異なります。
例として、2021年1月現在の、カードローン会社数社の解約方法を紹介します。
消費者金融カードローン | 解約方法 | 受付時間 |
---|---|---|
アコム | アコム総合カードローンデスク 0120-629-215 | 平日9時〜18時 |
自動契約機(むじんくん)、店頭窓口 | 自動契約機:9時〜21時(土日・祝日含む) 店頭窓口:平日9時〜18時 |
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プロミス | プロミスコール 0120-24-0365 | 9時〜21時(土日・祝日含む) |
お客様サービスプラザ | 平日10時〜18時 | |
アイフル | 会員専用ダイヤ 0120-109-437 | 平日9時〜18時 |
店頭窓口 | 平日10時〜18時 |
銀行カードローン | 解約方法 | 受付時間 |
---|---|---|
三井住友銀行カードローン | 三井住友銀行カードローンプラザ 0120-923-923 | 9時〜21時(土日・祝日含む) ※1月1日除く |
支店窓口 | 平日9時〜15時 | |
三菱UFJ銀行カードローンバンクイック | 第二リテールアカウント支店専用ダイヤル 0120-76-5919 | 9時〜21時(土日・祝日含む) |
お客様サービスプラザ | 平日9時〜21時 土日祝9時〜17時 ※12月31日〜1月3日除く |
|
みずほ銀行カードローン | みずほ銀行カードローン専用ダイヤル 0120-324-555 | 平日9時〜20時 |
取引店、もしくはそれ以外のみずほ銀行の店舗 | 平日9時〜15時 |
カードローンを解約する際の注意点
ここからは、カードローンを解約する際の注意点を2つ取り上げます。
- カードローンの残高を完済しておく必要あり
- 各種キャンペーンの対象外になる可能性あり
カードローンの残高を完済しておく必要あり
カードローンを解約する前提として、通常そのカードローンの残高を完済しておく必要があります。
完済時には、その返済予定日付の日割り利息を含めて返済する必要があります。
コールセンターなどに問い合わせて正確な返済金額と返済方法を確認するようにしましょう。
ATM返済では硬貨が投入できず千円単位の返済になるのが一般的です。そのため、借入残高が千円未満になると返済したくてもATMでは返済できなくなります。
このことから、近年では千円未満の借入残高を「無利息残高」として、これを無利息・無期限とする金融機関があらわれました。
無利息・無期限のため放置していたとしても大きな問題は生じませんが、残高であることに変わりはありません。カードローンを解約するには、無利息残高も含めて返済しておく必要があります。
無利息残高がある場合は、ATMでは返済できませんので、カードローン会社に返済方法を問い合わせましょう。
各種キャンペーンの対象外になる可能性あり
カードローン会社は、新規顧客の獲得のために、はじめてそのローン会社を利用する人を対象に各種キャンペーンを実施していることがあります。
例えば、以下のような特典が付与されます。
- 低金利・無金利などの金利優遇期間
- 利息相当額などの各種キャッシュバック
もしも、金利優遇期間中にカードローンを解約すると、期間の途中であったとしてもその優遇期間は終了します。
その会社で再度カードローンを申し込んだとしても、はじめての顧客ではないため初回キャンペーンの対象外になるのが一般的です。
また、各種キャッシュバックが付与されるまでにはある程度時間がかかるケースが多いです。
キャッシュバックされるまでに解約した場合は、初回キャンペーンの対象外になるという条件が設定されていることもあります。
このように、カードローンを解約すると初回キャンペーンの対象外になることがあります。キャンペーン特典を重視していた場合は注意が必要です。
カードローン解約のメリット
この記事の初めに、借入残高の完済後は速やかにカードローンを解約すべきとお伝えしました。
では、カードローン解約にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからはカードローン解約のメリットを3つ解説します。
- 他のローンの審査に有利に働く可能性がある
- 無駄な借入れを防止できる
- 第三者による不正利用を防止できる
他のローンの審査に有利に働く可能性がある
一般的に、借入残高が少ないほど、住宅ローン・自動車ローンなどの各種審査で有利に判断されます。
なぜならば、審査会社はローンの貸倒れリスクを回避したいからです。
ローン申込者がカードローンを完済していても解約をしていない場合、再び借入れをする可能性が残ります。
ローン申込者の借金が増えてしまうと、貸付金を回収できなくなる可能性を否定できません。
そのため、審査会社としては余計なリスクを背負わないよう、カードローンが解約されているかを重視している場合があります。
カードローンの解約情報は個人信用情報機関に登録されるので、審査会社はカードローンが解約されているかどうかを把握できます。
このように、カードローンの解約は他のローンの審査に有利に働く可能性があります。
無駄な借入れを防止できる
カードローンの契約が継続していると、限度額の範囲内で再度借入れることが可能です。
カードローンを完済した人は、ある意味カードローンを使い慣れており、借入れに対する抵抗感がなくなっていることも多いです。
そのため、手元にカードローンがあると、ちょっとお金に困ったというだけで安易に借入れを利用してしまう可能性があります。
カードローンを解約しておけば、借入れたくても自由に借入れられない状況になるので、使いすぎを防ぐことができます。
このように、無駄な借入れを防止できるのはカードローンのメリットの一つといえます。
第三者による不正利用を防止できる
カードローンを未解約のまま放置していると、カードローンを他人に不正利用される可能性があります。
暗証番号などカードローンに必要な情報が知られると、カードローンカードを第三者に悪用される可能性があります。
また、最近はスマホアプリで融資を受けられるようなカードローンも多いです。サイバー犯罪が頻発する現在、何が悪用の糸口になるのか素人が完全に把握することは困難でしょう。
カードローンを解約しておくことこそが、カードローンの不正利用に対する最も簡単で確実な防衛策となります。
カードローン解約のデメリット
カードローン完済後は即解約というのが原則ですが、一方でデメリットもあります。
そのため、場合によってはカードローン完済後もすぐには解約しない方がいいケースもあります。
そこで、ここからはカードローン解約のデメリットを2つ解説します。
- 再度カードローンを利用するには改めて審査が必要となる
- 手元資金が少ないと急な出費に対応できなくなる可能性がある
再度カードローンを利用するには改めて審査が必要となる
一度カードローンを解約すると、たとえ同じカードローン会社であっても、改めて新規申込みをしなければなりません。
そのため、カードローンの審査を受け直す必要があります。
このことから、カードローン解約時は以下の点を理解しておく必要があります。
- もう一度審査に通るとは限らない
金融機関はあくまでその申込み時の申込者の情報をもとに審査を行います。以前審査に通ったからといってもう一度審査に通るという保証はありません。 - 審査に通ったとしても以前と同じ条件で契約できるとは限らない
年齢や収入、ローンや他社借入れの利用状況など申込者自身の状況の変化や、カードローン会社の経営方針の変化などによって、どのような契約を結べるかはある程度流動的です。
そのため、以前と同じ利率や限度額、返済条件で再契約できるとは限りません。
手元資金が少ないと急な出費に対応できなくなる可能性がある
預金残高などの手元資金が少ない状態でカードローンを解約すると、冠婚葬祭や傷病などで急な出費が必要になった際に対応できなくなる可能性があります。
そのときになって改めてカードローンを申込むこともできますが、審査を通過できない可能性や、融資が受けられるまでに時間がかかる可能性もあります。
そのため、カードローン解約時は手元資金に不安がないか、よく確認しておく必要があります。
カードローン解約についてのよくある質問
ここでは、カードローン解約についてのよくある質問をいくつか紹介します。
カードローンの解約後に再契約することは可能?
カードローンの解約後も、カードローンを再申込みすることは可能です。
もっとも、カードローン解約のデメリットでもお話した通り、カードローンを再契約することができるかはそのときの審査の結果次第です。
そのため「再契約することは可能だが、必ず契約できるとは保証はない」というのが回答となります。
解約からの経過期間が審査基準に含まれており、解約から間のない時点で再申込みするのは難しい会社もあるといわれています。
解約からあまり時間が経過していないようであれば、申込みは控えた方が無難かもしれません。
カードローンを解約後に信用情報は反映される?
カードローンの残高など、情報が日次更新される信用情報もありますが、カードローンの解約情報は月次更新とされています。
これに、カードローン会社が報告するタイミングの問題も絡みます。
そのため、カードローンの解約情報は、解約後1〜2ヶ月ほどで反映するのが一般的です。
カードローンを解約しないと住宅ローンは申し込めない?
住宅ローン申込時にカードローンやクレジットカードなどの残高が残っている場合は、その住宅ローン会社から残高を清算するよう指示されるのが一般的です。
住宅ローンの審査にあたって、返済比率という指標が重視されます。
年収に占める年間返済総額の割合で、次式で計算される。
返済比率=年間返済総額÷年収×100
住宅ローン申込みにあたっては、この返済率が20%以下に抑えられているのが望ましいとされます。
カードローンが解約されていないと、住宅ローンの融資実行後に新たな借入れで、返済比率が当初より底上げされてしまう可能性があります。
そうなると、住宅ローンの貸倒れリスクが高まります。
住宅ローンは非常に多額かつ長期にわたるローンですので、住宅ローン会社としてはなんとしても貸倒れリスクを抑えなければなりません。
カードローンを解約しないと住宅ローンは絶対に申し込めないと断言はできませんが、解約しておくのが無難でしょう。
カードローンの解約後に完済証明はもらえる?
カードローンの残高が残っていなければ、カードローン会社に完済証明の発行を依頼することができます。
なお、「完済証明書」という名称の書面は用意しておらず、それに代わるものとして残高0の「残高証明書」という書面を発行する会社も多いです。
必要があれば店舗やコールセンターで自分から依頼しましょう。
カードローンの解約証明書はもらえる?
解約と完済は別物なので、カードローンが解約済みであれば、解約を証明する書面として「解約証明」の発行を依頼することもできます。
店舗やコールセンターで解約証明書の発行を依頼すれば、通常1週間ほどで手元に届きます。
解約証明書は完済証明書と比較すると、依頼せずとも自動的に郵送してくる会社も少なくない印象です。
ただし、会社によって対応はまちまちですので、解約証明書が必要であれば店舗やコールセンターに確認した方が良いでしょう。
カードローンの解約がおすすめなのはこんな方
最後に、カードローンの解約をおすすめできる方をまとめます。
- これから住宅ローン等の申込みを検討している人
- 預貯金など手元資金が十分にあり、急な出費があっても対応できる人
- 無駄な借入れを防止したい人
何かあったときのことを考えると、なかなかカードローンの解約に踏み切れないのも事実です。
ですが、カードローンの契約が残っているとついつい借入れに頼ってしまいがちですし、自分のお金でいざという時のための資金を蓄えるのを先送りしてしまいます。
いつ限度額を引き下げられるとも限りませんし、最後の砦がカードローンというのも安心できませんよね。
完済後はできるだけ速やかにカードローンを解約して、自分のお金で将来の蓄えをしていきましょう!