カードローンを申し込む際、多くの方が気にかけるのが「クレヒス」です。
「クレヒス」はクレジットヒストリーの略で、いわゆる信用情報のことを指します。
もっとも、具体的に何が「クレヒス」に該当し、どういった行動・状況が「傷」になるかはよく分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、カードローンの審査に関わる信用情報について一通り解説します。
この記事を読むことで、信用情報の概要を理解し、ご自身のクレヒスについて正しく判断できるようになります。
- 信用情報は、クレジットカードやローンなどの取引履歴
- 信用情報は信用情報機関に登録され、金融機関で共通して照会される
- 信用情報のキズとは、過去の延滞履歴などのこと
- 信用情報機関に依頼すれば、自分の信用情報を確認できる
信用情報とは
信用情報とはクレジットやローンの契約や申し込みに関する情報のことで、客観的な取引事実を登録した個人の情報のことをいいます。
この信用情報は、カードローン会社やクレジットカード会社などが、顧客との信用取引を判断する際の一材料として利用されます。
そのため、信用取引の判断とは関係のない以下のような項目は、信用情報には一切含まれません。
- 人種
- 思想
- 保険医療歴
- 犯罪歴
信用情報として登録される情報の種類については、後の「信用情報の種類」の節で解説します。
カードローンの借り入れは信用情報に不利?
カードローンを利用すると、それだけで「今後の住宅ローン等の申し込み時に悪い評価をされるのでは」と、心配する方もいるでしょう。
たしかに、カードローンの借り入れの事実は信用情報機関に登録されます。
しかし、一般的にカードローンで借り入れを行うこと自体は、信用情報に不利に働くものではありません。
問題になるのは、借り入れ後の返済状況や借入残高です。
カードローンの返済で延滞が続いているようであれば、その人の返済能力に疑問符がつくので、信用情報上不利に働くでしょう。
また、収入に対して不相応に借入残高が多いようでは、やはりその人の返済能力が疑われます。その結果、信用情報上不利になるでしょう。
ここまでの話を以下にまとめます。
- カードローンの借り入れだけでは不利に働かない
- 延滞が多いなど返済状況に問題があると不利に働く
- あまりに借入残高が多いと不利に働く
信用情報は「信用情報機関」に登録されている
カードローンやクレジットカードなどの信用取引の信用情報は、その契約会社が単独で保持するのではなく、「信用情報機関」に届け出て登録されます。
信用情報は、信用情報機関に加入する他の金融機関も必要に応じて照会することができます。
個人の信用情報の収集・提供を行う機関。法令により指定された信用情報機関は特に「指定信用情報機関」という。
日本では、個人に関する信用情報機関は以下の3つがあります。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC9
このうち、法令ごとの指定信用情報機関は以下の通りです。
法令 | 指定信用情報機関 |
---|---|
貸金業法 | JICC、CIC |
割賦販売法 | CIC |
何かしら信用取引を利用したことのある場合、少なくともCICには信用情報が登録されている可能性が高いです。
あわせてJICCに登録されているケースも多いです。KSCは指定信用情報機関ではありませんが、銀行であればほとんど加盟しています。
そのため、銀行との信用取引があった場合はKCSにも信用情報が登録されている可能性が高いです。
信用情報の種類
信用情報は一言でいうと、信用取引の利用や申込といった、個人の信用取引に関する客観的事実を指します。
ただ、これだけでは何のことかよく分からないかもしれませんね。まず、信用情報は、大きくは以下のような情報に分類できます。
- 本人を識別するための情報
- 取引事実に関する情報
- 申込情報
- 本人申告情報
- その他の情報
信用情報機関によって、情報の名称や分類の仕方に異なる部分はありますが、含まれている内容としては概ね同じです。
以下、それぞれの情報について解説します。
本人を識別するための情報
申込者が誰であるか、その本人を特定するための情報のことを指します。
主な内容は以下の通りです。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 電話番号
- 勤務先名
- 勤務先電話番号
- 運転免許証(運転経歴証明書)番号
取引事実に関する情報
クレジットカードやローン、キャッシングなどの契約内容や返済状況など、取引状況に関する情報のことを指します。
取引事実に関する情報はさらに、契約内容についての情報、返済状況についての情報に分類することができ、その主な内容はそれぞれ以下の通りです。
- 契約の種類
- 契約日・貸付日
- 契約金額・貸付金額
- 返済回数
- 入金日
- 入金予定日
- 残高金額
- 完済日
- 延滞などの金融事故情報
金融事故については後の「信用情報に傷がつくとは、どういうこと?」の節で解説します。
申込情報・照会記録
申込情報・照会記録とは、信用情報機関の加盟会社が申込者の信用情報を照会した情報のことです。
クレジットカードやローンなどの申込時に照会した情報を「申込情報」、クレジットカードローンなどの利用途上で照会した情報を「照会記録」といいます。(※呼称は機関によって異なります)
主な内容はそれぞれ以下の通りです。
- 本人を識別するための情報
- 利用日
- 利用目的
- 利用会社名
本人申告情報
文字通り、本人から申請することで、信用情報機関が保有する信用情報に登録できる情報のことを指します。
もちろん、本人の好き勝手な情報を申告できるわけではありません。
本人申告の制度が利用できるのは以下のような場合です。
- 運転免許証などの本人確認書類が紛失・盗難に遭い、第三者による不正利用の懸念がある
- 自己の名義を他人に悪用される恐れがある(同姓同名・同一生年月日の別人が存在しているような場合)
- 自分の浪費を防止すべく加盟店に与信自粛を促したい
本人申告情報の主な内容は以下の通りです。
- 本人を識別するための情報
- 情報登録日
- 本人申告コメント
信用情報機関はあくまで申告情報を信用情報に登録するだけです。申告によって申告者の信用度が上がる訳ではありません。
登録された申告情報をどのように判断・利用するかは、申告情報に接した加盟会社に委ねられています。
その他の情報
ここまでで解説した情報以外にも、以下のような情報も登録されています。
- 電話帳掲載情報
- 貸付自粛依頼情報
電話帳掲載情報としては、電話帳に掲載された氏名、電話番号、住所などの情報が登録されます。
貸付自粛依頼情報は、日本貸金業協会または全国銀行個人信用情報センター(KSC)に貸付自粛依頼を申し入れたことを表す情報です。
信用情報に傷がつくとは、どういうこと?
信用情報に傷がつくとは、どういうことでしょうか。
一般に、信用情報に傷がついている状態というのは、延滞などの各種金融事故が信用情報機関に事故情報として登録されている状態のことを指します。
事故情報は、信用情報機関への登録・照会を通じて加盟会社で共有されます。
そのため、信用情報に傷がつくと、カードローンはもちろんクレジットカードや各種ローンなどの審査を通過することが困難になります。
どの金融機関に申込をしても審査落ちになったり、既存会員であればカードローンの限度額の引下げや強制解約といったことが起こりえます。
信用情報の傷とされる主な事故情報は、以下の通りです。
事故情報 | 内容 |
---|---|
延滞 | 61日以上または3ヶ月以上に及ぶ延滞。期日を失念していた場合などで延滞期間が短い場合は、金融機関の社内情報として留まるケースも多い。 |
代位弁済 | 契約者が返済不能に陥った際に、保証会社や保証人が契約者に代わって行う返済 |
債務整理 | 債務の返済が困難になった場合に、合法的に支払の減免を受けられる制度。任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類。 |
強制解約 | 延滞、規約違反の繰返し等で、金融機関側から一方的に行われる解約 |
信用情報を確認する方法
自分の信用情報を確認することができれば、審査落ちした場合の原因を推測することもできますし、今後の申込のための対策を考えることもできます。
そこで、ここでは信用情報を確認する方法について解説します。
信用情報の確認方法
信用情報は、信用情報を保持している信用情報機関に依頼することで確認することができます。これを信用情報の開示請求といいます。
信用情報を取り扱っている信用情報機関は、先にお伝えした通り下記の3社です。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
クレジットカードや各種ショッピングローンなど - 株式会社日本信用情報機構(JICC)
消費者金融のカードローンなど - 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
銀行からの融資など
信用情報はそれぞれの信用情報機関がそれぞれに管理しています。
一般的に、CICはクレジットカードや各種ショッピングローンなどについて、JICCは消費者金融のカードローンなどについて、KSCは銀行からの融資などについて利用されます。
ところが、実際にはどの金融機関がどの信用情報機関に加盟しているかはまちまちです。
金融機関がどの信用情報機関に加盟しているかは、ホームページやコールセンターなどで調べることができます。
もし、過去に自分がどの金融機関と契約していたかを正確に把握できているのであれば、その金融機関が加盟している信用情報機関に対してのみ開示請求をかければ十分です。
また、なかには思いがけないところで信用情報を登録されている場合もあります。
自分の信用情報を正確に把握しておきたいという方は、3社すべてに開示請求することをおすすめします。
開示請求の方法
信用情報機関に開示請求する手段としては、次の3種類があげられます。
- インターネット
- 郵送
- 窓口
以下の表では、開示請求方法とその手数料をまとめました。開示請求を実行する際の参考にしてください。
信用情報機関 | 利用可能な開示請求方法 | 手数料 |
---|---|---|
CIC | インターネット(PC、スマートフォン) | 1,000円 |
郵送 | 1,000円 | |
窓口 | 500円 | |
JICC | スマートフォン | 1,000円 |
郵送 | 1,000円 | |
窓口(コロナ感染拡大防止のため、現在は休止中) | 500円 | |
KSC | 郵送 | 1,000円 |
各社ごとに具体的な手続方法は異なるため、詳細は各社ホームページを確認してください。
信用情報を回復させる方法
信用情報は、基本的に信用取引に関する過去の客観的事実です。
過去の取引履歴が変わることはないので、傷ついた信用情報を自らの行動で回復させる方法は残念ながらありません。
ただし、信用情報は永久に保有されるものではなく、信用情報機関が定める保有期間を経過すれば抹消されることになっています。
そのため、事故情報が登録されても、その保有期間を無事経過することができれば、信用情報上はそのことはなかったことになるのです。
各信用情報機関が事故情報を保有する期間は以下の通りです。
信用情報期間 | 保有期間 |
---|---|
CIC | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
JICC | 契約期間中および契約終了後5年以内 |
KSC | 契約期間中および契約終了後5年以内。ただし、官報に広告された破産・民事再生手続開始決定等については、決定日から10年以内。 |
一度クレヒスに傷が付くと、なかなか消えない
最後に、信用情報のポイントについてまとめます。
- 信用情報には、本人の情報や取引履歴などが含まれる
- 信用情報で事故情報が登録されると今後の取引に致命的
- 信用情報の確認はそれぞれの機関に対して行う
- 自分の信用情報を漏れなく把握したい場合は、信用情報機関3社すべてに開示請求を
- 金融事故から5年〜10年経過すると、登録された情報は抹消される
信用情報については細かい話も多いですが、利用者として必要な理解はシンプルです。
それは「カードやローンは期限までにきちんと返済する」。これを守れないと、どこに行っても新たな信用取引が長期間できなくなる、ということです。
もし、信用情報の傷に心当たりがある場合は、開示請求して現状を正確に把握しましょう。
傷がついていれば、事故情報の保有期間経過を待つ必要があります。
信用情報はいわば信用取引の履歴書といえるもので、社会生活上非常に重要なものです。
信用情報を正しく理解し、傷をつけないよう心がけましょう。