株式貯蓄の考え|銘柄選定のポイントは安定成長企業。見極める方法を解説

初心者に向けた株式投資の解説やセミナーなどを全国各地で開催されている福沢隆雄さんに、今さら聞けないお金や投資の素朴な疑問を投げかける本連載。

第3回では、長期で株式を保有する際の考え方や具体的な企業の選び方について伺いました。

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前回、資産形成という意味では、長期での株式保有がお勧めだというお話を伺いました。でも、実際にはどのくらいの期間持っていればいいんでしょうか?
長期といっても、いつかは売るわけですよね?
いいえ、基本的に売りません。ずっと持っておくことが前提です。
えええ、そうなんですね。でも、「どの株を買っても良い」ということではないですよね?
その通りです。「株を始めてみよう」というのは大歓迎ですが、先ずは自分のわかる分野の企業にしましょう。
自分自身が関心があって、身近に感じられる企業を選べば良いということですか?
はい。自分が知らない世界のことは想像するのが難しいですからね。自分が普段買っている商品や使っているサービスを提供している会社がわかりやすいと思います。といっても、「とりあえず好きな株を買う」というのは少々危険です。
結婚だって、一目惚れしてすぐに結婚してしまったら、後でとんでもないことになるかもしれないですよね。
そうですね(笑)。
株も同じで、その会社の一つの商品だけとか、株主優待だけに惚れてすぐに買ってしまうというのはオススメできません。ずっと株を持っておくためにも、会社の価値を見極めることが重要です。
会社の価値…どうやって見極めるのですか?
ずばり、潰れない会社や損となりにくい会社を選びましょう。
福沢さん!それは誰もが思っていることです!(笑)
そうですよね。でも、本当にそれがとても重要なんです。初心者にとって堅実な良い企業を選べるかどうかは大切です。
なるほど。でも、変化の激しい今の時代に、それを予測するのってかなり大変そうに思うのですが…やはり、相当な勉強やリサーチが必要なのではないですか?
いいえ、僕のやり方では、「安定成長企業」を投資対象とします。これは企業業績が安定して成長する企業です。この投資にあたり決算書を学ぶ必要はありません。企業業績が全体的に伸びている企業。
もっと詰めれば、1株当たり利益が年々伸びている企業を選びます。
これは、会社の業績が景気や世の中の動きに影響を受けづらい会社でもあります。

Check!安定成長企業のイメージ

「安定成長企業」の企業収益と株価の関係

前回、株価の変動は気にしないとおっしゃっていましたもんね。株価は毎日変動するけれど、会社の業績は今日明日で急に変わるものではないと。
とはいえ、いざ株価が急に下がったりしたら、本当に大丈夫なのかなと不安になりそうです…。
では、例を出しましょう。リーマンショックの時のことを思い出してください。再び同じような状況になったとして、坪井さんは「世の中の景気が悪いから、今日はビールをやめておこう」と思いますか?
いいえ。気にせずにビールを飲みますね(笑)。
そうですよね。人々の生活に関わるものは、景気が悪かろうと、皆さんそこまで気にせずに普段通り購入します。
この図は、食料品に分類されるある企業の株価と、企業利益をグラフにしたものです。
企業業績を見ると、1株利益が年々安定的に成長しています。ところが、株価は、業績と連動していません。

例えば、昨年秋は、米中貿易戦争で株価の下落がありましたが、ほとんどの株価が下落しました。大きな出来事があると株価は一斉に下がる傾向にあります。

この株式の場合は、企業業績が景気などに左右されていません。こうした企業は、景気の動向などはみる必要はありません。

Check!ある食料品企業の1株利益と株価の推移

株価の推移と一株当たりの利益の関係図

  • 株式市場では大きな出来事(悪いニュース)があると、ほぼ全銘柄が下落します。
  • 2018年秋に、米中貿易戦争で日経平均株価などが下落しましたが、当該銘柄も業績に関係なく下落しています。
  • このように、短期的にみれば株価と企業の業績とは別の動きをします。
なるほど。そういう視点で見れば良いのですね。すごく分かりやすいです。となると、やはり自分が口にするものや、毎日使うものを提供している企業が良さそうですね。
そうなんです。その中から、なるべく独自性が感じられて、その商品やサービスの市場が大きいというのが大事ですね。いくら良いものを作っていても、需要がないと困りますからね。
なるほど。たとえば、東京オリンピックのような大きなイベントの場合、不動産投資はものすごく影響を受けますよね。でも、そういった一大イベントでさえも、気にしなくて良いということですか?
それとも、株の長期投資の場合も「オリンピック前に買うべき」とか、「オリンピック後に買うべき」というような議論もあるんですか?
私のやり方では、そのようなテーマ株式で一時的な株価の上昇をねらうことはしません。あくまでも長期投資です。避けた方がベターなのは、急騰している銘柄ですね。
例えば、上場したばかり会社や何かしらのブームで急に上がったテーマ株などはリスクがあると思います。
たしかに、ベンチャー企業などは初心者には少しハードルが高そうですね。
ある程度の経験や見る目があるなら、ベンチャー企業に投資しても良いと思いますが、初心者にはオススメしないですね。
つまり、株価は気にせずに、あくまで長期的な視野で業績を見る。
はい。そして、銘柄を選定して、とりあえず3~5年は持つつもりで買い、買付後は四半期毎に業績を会社四季報などで見る程度で見直せば十分だと思います。
そんな頻度でいいんですか!? だとしたら、日々の株価の変動にもドギマギしなくて済みそうです。
そうです、投資対象は「安定成長企業」です。四半期毎に業績の推移をみる程度で企業価値の把握をしていきましょう。企業業績がしっかりしていれば、株価(値札)はあまり気にしないことです。
だんだん理解してきました。ただ、そうは言っても、どの企業を選べば良いのか…。選択肢はかなりたくさんありますよね。
そうですね。東証への上場企業が3700社くらいありますからね。
ですよね…。そこから企業の価値を判断して選ぶのって、気が遠くなりそうです(汗)。
そのため、先ず、日本を代表する優良企業400社に注目します。これはJPX日経400といい、日本証券取引所グループと日経新聞が選んだ400社の中から選定します。
このJPX日経400は、国際基準に基づき、収益性・成長性を評価した企業です。

私のセミナーでは、この400社の中から最終的に安定して成長している企業を50社まで絞ってお伝えしようと考えています。

Check!投資対象

上場企業(約3700社)→JPX日経400(400社)→企業業績の安定している企業(50社選定)

おおお、50社まで!初心者にとっては、かなり助かりますね。
まずは、株に対する怖さを取り払っていただきたいと考えています。そのため、安定成長企業を50社選定します。その中で、自分で投資する銘柄を判断していただきたいと思っています。
だんだんと株を始めるイメージが湧いてきました。次回は、具体的にいくらの金額から投資を始めれば良いかなど、より具体的なお話をうかがわせてください!
福沢隆雄(若葉マークの株式投資代表)
福沢隆雄
若葉マークの株式投資 代表

元大蔵省勤務。証券局にて企業の海外資金調達関係の業務や証券検査官を担当。
証券検査官当時、ニューヨーク・ロンドンに長期滞在し、米・英の証券市場・証券規制と証券会社の営業実態の調査を行う。その後、リーマン・ブラザーズ証券会社ニューヨーク本社・東京支店、静岡東海証券、日興アセットマネジメント、アセットマネジメントOneオルタナティブインベストメンツ等に従事。
退職後の2019年4月から株式投資教育に専念。

主な著作/連載
『はじめての株式投資』(きんざい)、『海外資金調達の実務』(きんざい:共著)
MonJa 「株式貯蓄」にて、株式投資の初歩的・基礎的な内容を解説中

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