確定申告は、自分の所得を申告し、それに応じた所得税を払うための手続きです。
会社員であれば会社で年末調整が行われますが、個人事業主や自営業の場合は自分で確定申告をしなければいけません。
確定申告は年に1回行うものであり、期限を過ぎた場合はかなり厳しいペナルティが待っています。
- 無申告加算税が最大20%
- 延滞税が最高で14.6%
- 青色申告書の65万円の控除が10万円に
- 2年連続や頻繁に申告が遅れるのであれば青色申告書が使えなくなることも
確定申告の提出期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税など普通は払う必要のない税が発生したり、青色申告によって受けられる65万円の所得控除の金額が下げられるなどのリスクがあります。
確定申告は、必ず期限内に申告をしなければなりません。
今回は、確定申告の期限と期限を過ぎてしまった場合のリスクについて解説をします。
確定申告はいつまでに手続きをしなければならない?
まず、確定申告はいつまでに手続きをしなければいけないかについて解説をします。
年明けから確定申告を意識し出す人は多いと思いますが、確定申告は毎年3月15日が期限(土日が重なった場合は後述します)となっています。
申告するのは、前年の1月から12月分の所得に応じた所得税などの税目であり、申告した分の国税は納税しなければいけません。
申告期限を過ぎてしまうとさまざまなペナルティが発生するので、なかなかシビアです。
土日が重ならない限り毎年3月15日が期日
基本的に毎年3月15日が確定申告の期日となっています。
土日が重なる場合は前後することがあるので、その場合は国税庁のホームページ等で期日を確認しましょう。
3月15日が期日なので、3月15日までに申告をすれば問題ありません。
年末で収支が確定したら年明けすぐに対応し、2月の受付開始早い段階で申告するのがベストです。
申告するのは前年の1月〜12月分
確定申告の対象となるのは前年の1月から12月分となります。1年間の収入と支出に応じた所得等を申告することで納税額を決定するというのが確定申告です。
そのため、確定申告をする場合は1月から12月分までの収入や支出の証明書類が必要になります。
支払調書や経費で購入した際の領収書などが挙げられます。
全て自分で行う場合は、しっかりと大事な書類はわかりやすいように保管しておきましょう。
大体の人は2月あたりから準備を進める
年明けから確定申告というワードをよく耳にするようになりますが、多くの人が準備を始めるのは大体2月くらいです。
3月になれば税務署も混むことが多いため、2月中に申告しておこうと考える人も多いです。
1年間の書類を整理するのはなかなか骨の折れる仕事なので、3月15日の期限ギリギリまで先延ばしするのではなく、余裕を持ってスケジュールを立てるようにしましょう。
65万円の控除が適用される青色申告書がおすすめ
確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。大きな違いは、青色申告は「青色申告承認申請書」の事前提出が必要であることと複式簿記による記帳が必要であることです。
白色申告で受けられるのは基礎控除のみですが、青色申告は所得控除が最大65万円受けられます。
白色申告の方が手間がかからないことは事実ですが、2014年から白色申告者にも帳簿への記帳と保存が義務付けられたことにより、手間は大きく変わらなくなりました。
そのため、今では所得控除が適用される青色申告の方がメリットが大きいといわれています。
青色申告の条件は下記の通りです。
- 不動産、事業、山林のいずれかの所得があること(不動産所得の場合、アパートは5棟以上、客室は10室以上である場合に限る)
- 所得に関する取引を簿記の原則に従って複式簿記で記帳している
- 貸借対照表・損益計算書を添付した青色申告書と確定申告書を3月15日までに提出する
注目すべきは最後の項目。青色申告を適用させるためにも、期日内に確定申告をするのは必須です。
- 土日が重ならない限り毎年3月15日が期限
- 3月15日に前年1年分の申告を行う必要があるので準備に手間がかかる
- 年明けから早めに準備するが吉
- 申告をするなら青色申告書を利用するのがおすすめ
次の章では、確定申告期限を過ぎてしまった場合の重いペナルティについて見ていきます。
確定申告の期限が過ぎたらどうなる?
次に、確定申告の期限である3月15日を過ぎた場合、どのようになるのかについて解説します。
確定申告の期限はかなりシビアで、1日でも過ぎてしまうと期限後申告とみなされてしまいます。
また、税務署に指摘された後に期限後申告をした場合は支払う税額に応じて無申告加算税を支払わなければいけません。もちろん、延滞をすればその分延滞税も加算されます。
確定申告の期限を過ぎると、支払い税額が一気に高くなり負担が大きくなってしまいます。
期限を過ぎた場合のリスクを知り、期限内に申告できるように準備を進めていきましょう。
期限後申告として扱われてしまう
1日でも申告期限を過ぎてしまうと、期限後申告として扱われてしまいます。
期限後申告をしたとみなされると、それは履歴として残ってしまいますし、必要以上に支払税額が増えるなどのペナルティが課せられます。
期限を過ぎて確定申告をしていないことに気付いたら、必ずなるべく早めに自主的に申告をするようにしましょう。
無申告加算税が加算されて支払額が高くなる
期限後申告をすると、無申告加算税と呼ばれる税が加算されます。そのため、通常支払う予定だった税額よりも高額になってしまいます。
- 税務署の指摘を受ける前に自主的に期限後申告した場合は5%
- 税務署の指摘後に期限後申告した場合:納税額50万円までは10%、50万円を超える部分は15%
このように、なるべく早めに自分から申告をすれば無申告加算税を減額させることができます。
期限後申告によるダメージを最小限にするためにも、必ず早めに申告しましょう。
無申告加算税が適用されないためには
一方で、無申告加算税が適用されないケースもあります。
- 申告期限後1ヵ月以内に自主的に申告している
- 直近5年間に期限後申告がない
- 確定申告の期限内(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)に納税は済ませている
上記の全ての項目を満たしている場合、無申告加算税が適用されません。
一度期限後申告とみなされると、今後5年間はこのように避けることができないので、確定申告の期限は当然守るつもりで行動することが大切です。
期限後申告をしてしまうと青色申告書の控除が10万に!
期限後申告をした時点で、青色申告による所得控除が10万に減額されてしまいます。
これは死活問題ですよね。こうならないためにも、必ず期限は守りましょう。
期限後申告を2年連続でしてしまうと青色申告の承認が取り消しになる可能性も
期限後申告を連続でしてしまうと、青色申告の承認が取り消しになるリスクも高まります。
今後青色申告ができなくなる恐れもあるので、十分注意しましょう。
延滞税について
さらに納税が遅れてしまう場合も、遅れた日数分だけ延滞税が加算されます。
最高税率はなんと14.6%となっており、遅れた日数や金額で決まります。
かなり計算は複雑なので、自分で計算するよりも国税庁のホームページにある計算表で算出してみることをおすすめします。
- 期限後申告として扱われてしまう
- 無申告加算税が加算されてしまう
- 青色申告書の控除が65万から10万に
- 納税期限を過ぎると延滞税が最大14.6%かかることも
ただし、3月15日以降に申告できるものもあります。次の章で見てみましょう。
3月15日以降でも申告できるのが還付申告
一方で、3月15日以降でも申告して問題ないものが還付申告と呼ばれているものです。
還付申告は下記のようなものとなります。
- 医療費控除
- 災害や盗難などの損害を受けたとき
- ふるさと納税
- 初めて住宅ローン控除が適用される年
- 年末調整のミスによる所得控除漏れ
- 年度の途中で退職した人で年末調整を受けていない
基本的に、医療費を多く支払ってしまったもの、自主的に納税したもの、自分ではどうすることもできない事情等があったものに対する申告だと思ってください。
これらの申告については3月15日以降でも問題はありません。
上記以外の所得や控除の申告は必ず3月15日までに済ませないと痛い目を見るので注意しましょう。
確定申告を提出するならe-Taxがおすすめ
以前までは確定申告を提出する場合、必要書類を揃えた上で税務署に直接提出するか郵送するかのどちらかでした。しかし最近では、確定申告の提出をネットでもできるようになったのです。
ネットで確定申告できるサービスをe-Taxと呼びます。e-Taxを利用すると提出書類の事前準備が不要であったり、途中保存や後からの訂正も簡単です。
また、わざわざ郵送をしたり税務署に行く手間もかかりません。
e-Taxの利用開始までの準備は少し手間がかかりますが、今後もずっと確定申告をしていく以上、e-Taxがあった方が確実に便利です。
郵送時の必要書類の提出が不要
郵送時、本来であれば確定申告書の他に確認書類として同封しなければいけない書類がいくつかあります。
確定申告をする人の収入や働いている状況に応じて必要な書類は異なります。
必要な書類が揃っているかのチェックなど、かなり手間がかかることがわかると思います。
しかし、e-Taxであれば書類の郵送・必要書類の添付は不要です。
そのため、書類の準備や確認などの手間を省くことができます。
※ただし5年以内は申告内容の確認の為に、税務署より書類の提出を求められる場合があります。この場合は求めに応じる必要があるので、もちろん虚偽の申告はNGですし、書類も破棄せず大事に保管してください。
インターネット上で入力でき、途中保存も可能
e-Taxで提出をする確定申告書は、国税庁のホームページにある確定申告書等作成コーナーで作成することができます。数値や項目を入力するもので、途中保存も可能です。
つまり、一度に全てのデータを入力する必要がなく、空き時間に少しずつ進めていくことができます。後から訂正するのも楽ですよね。
そのため、手書きで書類を作成するよりも遥かに簡単だということがわかります。
郵送や税務署に行く手間がかからない
本来確定申告をする時は郵送や税務署に行って直接申告するものでしたが、e-Taxであればネットで完結できるので、郵送の手間も、わざわざ空き時間を作って税務署に行く必要もありません。
また、e-Taxはメンテナンス時を除いて24時間365日対応しているので、提出する時間が早朝や深夜でも対応できます。
個人事業主の人は特に稼働時間や空き時間がバラバラだと思うので、自分のライフスタイルに合わせて確定申告ができるというのは嬉しいですよね。
e-Taxの利用開始の方法
e-Taxの使い方法は2種類あります。
マイナンバーカードとICカードリーダーを使うマイナンバー方式と、e-TaxのIDとパスワードを使ったID・パスワード方式です。
マイナンバー方式の場合は、マイナンバーカードを発行し、ICカードリーダーの購入が必須となります。ID・パスワード方式に関しては、税務署で本人確認をした上で発行されます。
少し手間がかかりますが、今後楽になることを考えたら利用を開始しておくべきではないでしょうか。
確定申告の期限が過ぎると支払い額が高くなる!過ぎたらすぐに期限後申告をしよう
最後に、確定申告におすすめなe-Taxのメリットについてまとめます。
- 必要書類の提出が不要
- 郵送する手間もかからない
- ネットで完全完結できる
- ネット内に途中保存もできるので後からデータを追加することもできる
確定申告は、土日が重ならない限り3月15日が期限となっています。これは毎年同じで、多くの人は年明けから確定申告を意識し、準備を進める傾向にあります。
申告期限を過ぎてしまうと、納税する金額に応じて無申告加算税が追加されたり、延滞することによって延滞税が加算されます。
本来支払うべき税額よりもかなり高額になることから、期限を過ぎるのは絶対におすすめしません。
確定申告は必ず期限を守って申告するようにしましょう。
万が一期限を過ぎてしまった場合は、必ず自分から早めに申告するようにしてください。
e-Taxであれば、ネットで確定申告書の作成ができるだけでなく、ネットでそのまま送信することができます。
税務署に行く、郵送する手間が負担だと感じる人はe-Taxを利用してみてはいかがでしょうか。
e-TaxはマイナンバーカードとICカードリーダー、またはe-TaxのID・パスワードの発行が必要となります。確定申告に追われていないうちに準備を進めておくのも良いでしょう。