確定申告は学生でも必要?アルバイト掛け持ちのケースは?

学生のアルバイトでも確定申告が必要なケースがあります。特にバイトの掛け持ちをしているケースや副業がある場合は注意が必要です。一方、一定の条件を満たせば「勤労学生」として所得控除を受けられるケースもあります。
  • 2021年11月15日
  • 2021年11月15日
確定申告は学生でも必要?アルバイト掛け持ちのケースは?

年末・年始が近づくにつれ、「確定申告」という言葉を耳にする機会が増えますよね。

確定申告とは収入のある人が国に税金を納めるための手続のことです。

そうなると、学生のアルバイト代も確定申告が必要なのか気になりますよね。そこで当記事では、確定申告は学生でも必要かを解説します。

この記事を読むことで、確定申告と学生にまつわる知識を一通り理解することができます。

学生の確定申告のポイント
  • アルバイト先で年末調整が行われない場合は必要
  • アルバイト掛け持ちのケースや、副収入がある場合は確定申告が必要な場合もあり
  • 確定申告の方法は税務署窓口持参、郵送、インターネットの3通り

確定申告とは

確定申告書B

画像引用元:申告書B【令和元年分以降用】

確定申告とは、個人や法人が自己の納税額を確定させるために行う手続のことをいいます。

通常「確定申告」といえば、個人が所得税の納付額を確定させるために行う所得税の確定申告を指すことが多いです。

法人が納付する法人税額を確定させる手続や、消費税の課税事業者が納付する消費税額を確定させる手続も確定申告と呼ばれます。

所得税の確定申告では、納税者である個人が1月1日から12月31日までの1年間について、その期間内の所得を計算します。

そして、その翌年2月16日から3月15日までの間に、納税地の税務署長に確定申告書を提出して、納付所得税額を確定します。

後日、この確定申告で申告した申告納税額を、納期までに支払うことになります。

学生でも確定申告が必要なケース

ローン

では、学生であればそもそも確定申告は必要ないのでしょうか。それとも学生であっても、確定申告は必要なのでしょうか。

結論をいうと、学生であっても確定申告が必要な人もいれば、確定申告が不要な人もいます

ここでは、学生でも確定申告が必要となる場合について解説します。

アルバイトなど給与収入の年間合計が130万円以下であれば確定申告不要

所得税の納付税額は、以下のように求められます。(詳細は省きます)

  1. 給与所得など、各種所得の金額を合計して総所得金額等を求める
  2. 総所得金額等から所得控除を差し引き課税所得金額を求める
  3. 課税所得金額に所定の税率を適用して算出税額を求める
  4. 算出税額から税額控除を差し引き所得税額を求める
  5. 所得税額から源泉徴収税額を差し引き納付税額を算出する

そのため、そもそも税率を適用する課税所得金額がなければ、所得税を納付する必要がありません

課税所得金額は、2つ目の手順の通り、以下のように求められます。

課税所得金額=給与所得など各種所得の合計金額(総所得金額等)ー所得控除

そして、給与所得は以下のように計算されます。

給与所得=総支給額ー給与所得控除

アルバイト収入のみの学生に適用される控除は以下の3つです。

  • 給与所得控除
    給与収入金額が162万5千円以下の場合、55万円
  • 勤労学生控除
    27万円
    ①合計所得金額が75万円以下で、②給与所得以外の所得が10万円以下の場合に適用される所得控除

    総支給額が130万円以下の学生であれば、給与所得控除55万円を差し引くと合計所得金額が75万円以下となり、勤労学生控除が受けられる
    ※合計所得金額:総所得金額等から純損失や雑損失等の繰越控除を適用する前の金額。繰越控除がない場合は、合計所得金額と総所得金額等は同額となる。

  • 基礎控除
    納税者本人の合計所得金額が2,400万円以下の場合48万円
    合計所得金額に応じて適用される所得控除

アルバイト収入の年間合計が130万円以下で副収入がない場合、課税所得金額は以下のように計算されます。

課税所得金額
=総支給額ー給与所得控除55万円ー勤労学生控除27万円ー基礎控除48万円
=総支給額ー130万円
≦0円

年間のアルバイト給料が130万円以下の場合は課税所得金額がありません。

そもそも所得税の納付義務がないため、確定申告をする必要はないのです。

また、アルバイトをはじめとする給与所得者の場合、会社が毎月の給与から所得税を源泉徴収しています。

さらに、源泉徴収した所得税の過不足の計算・調整も会社側が年末調整で行ってくれます。

そのため、1社のアルバイト収入しかない学生の場合、130万円を超えている場合でも基本的に確定申告は不要となります。

例外的に学生でも確定申告が必要なケース

学生は基本的に確定申告が不要ですが、例外的に確定申告が必要となる場合もあります。

以下、その例外にあたる場合を解説します。

学生でも確定申告が必要なケース
  • そもそも会社が年末調整を行っていない
  • アルバイト以外にも副収入が20万円を超える
  • アルバイトを掛け持ちしている

例外1:そもそも会社が年末調整を行っていない

法律上、年末調整は会社の義務です(所得税法190条)。そうはいっても、実際に年末調整を行ってくれない会社があるのも事実です。

そのため、そのような場合は、アルバイト収入の総支給額が130万円を超える学生であれば、定申告を行う必要があります。

例外2:アルバイト以外の副収入が20万円を超える

アルバイト給与以外にも、アフリエイトなどの副収入がある場合は気を付けてください。

副収入の合計額が20万円を超える場合は、学生であっても確定申告が必要です。

例外3:バイトを掛け持ちしている

給与所得者が年末調整を受けられる会社は1社のみです。そのため、バイトを掛け持ちしている場合は、学生であっても基本的に確定申告が必要となります。

ただし、サブバイトの年間の給料が20万円以下の場合は確定申告する必要はありません。

確定申告が不要のケース

おサイフケータイ

学生がアルバイトをしている場合で、確定申告が不要のケースをまとめます。

いずれのケースもアルバイト先の会社が年末調整の義務を果たしていることが前提です。

  • 1社のみでアルバイトをしている場合
  • 副収入が20万円以下の場合

確定申告を行うには?

領収書のイメージ

学生でも確定申告を行う場合のために、確定申告の方法について解説します。

確定申告の方法

確定申告する方法は、以下の通りです。

  • 確定申告書を税務署の窓口に持参する
  • 確定申告書を税務署に郵送する
  • 確定申告書をインターネットで送信する(e-Tax)

確定申告書を税務署の窓口に持参する方法や郵送する方法は、確定申告書や各種必要書類以外に事前準備の必要はありません。

ただし、確定申告の締切日が近くなると税務署の窓口は大変混雑します。また、郵送の場合は郵送料と配達日数を考慮する必要があります。

インターネットで送信する方法(e-Tax)は、自宅で申告手続ができるため、締切日間近でも混雑に巻き込まれる心配もなく、大変便利です。

しかし、e-Taxを利用するにはマイナンバーカード、利用者識別番号、カードリーダーを事前に用意しておく必要があります。

確定申告に必要なもの

アルバイトをしている学生が確定申告をするには、一般的に以下のようなものが必要となります。

  • 確定申告用紙
  • アルバイト先の源泉徴収票
  • 印鑑
  • 銀行口座情報
  • 本人確認書類
  • ICチップ付きマイナンバーカード(e-Tax利用時)
  • ICカードリーダー(e-Tax利用時)

税務署への申請書等の提出時の本人確認は、次のように定義しています。

税務署への申告書・申請書等提出時の本人確認

本人確認=番号確認+身元確認

このことから、本人確認書類は番号確認および身元確認を行えるものである必要があり、マイナンバーカードの有無で必要な書類が異なってきます。

マイナンバーカードがある場合の本人確認書類

マイナンバーカードのみで番号確認ができます。身元確認の本人確認も同時に行えるため、マイナンバーカード1点のみでOKです。

マイナンバーカードがない場合の本人確認書類

番号確認書類と身元確認書類の2点が必要です。

  • 番号確認書類
    通知カード(氏名、住所などが住民票の記載内容と一致していることが必要)、マイナンバーの記載のある住民票の写し・住民票記載事項証明書など
  • 身元確認書類
    運転免許証、パスポート、公的医療保険の被保険者証、身体障害者手帳、在留カードなど

なお、e-Taxを利用する場合は、確定申告時に本人確認書類を提出する必要はありません。

確定申告の流れ

ここでは、アルバイトをしている学生が窓口・郵送で書面申請するケースを念頭に、確定申告の流れを解説します。

  1. 確定申告書用紙を準備
    税務署で入手できます。国税庁のホームページでダウンロードした申告書用紙をプリントアウトすることもできます
  2. 源泉徴収票、本人確認書類を用意
    源泉徴収票は通常、年末・年始に会社から交付されます。交付されていない場合、会社に源泉徴収票の発行を依頼しましょう。
  3. 確定申告書用紙を記入
    手元に源泉徴収票を準備して、申告書用紙に必要事項を記入します。
  4. 確定申告書用紙を提出
    準備した確定申告書用紙を窓口か郵送で税務署に提出します。

記入方法でよく分からない点があれば、税務署の相談窓口や確定申告相談会で相談することもできます。

確定申告を忘れたらどうなる?

債務整理

確定申告を忘れると、延滞税、無申告加算税が課されます。申告漏れの金額が大きいときは税務署の立入り捜査もありえるでしょう。

延滞税は、法定納期限の翌日から納付日まで、利息に相当するものとして日割りで発生します。

期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは原則として年率7.3%、2ヶ月を経過した日以後は原則として年率14.6%で課税されます。

無申告加算税は、期限後申告をした場合に課される税金です。

無申告加算税は、原則として納付税額に対して50万円までは10%、50万円を超える分は15%をかけた金額で発生します。

ただし、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は税率が5%となります。

延滞税の税率は年率ですが、無申告加算税の税率はそうではありません。

納付税額にそのまま5%、10%ないし15%をかけて計算します。そのため、無申告加算税はかなり重いペナルティーです。

ただし、期限後申告が申告期限から1ヶ月以内で自主的に行われた場合は無申告加算税は課されないこととなっています。

申告忘れに気づいた場合は速やかに期限後申告しましょう。

なお、税金を払いすぎていて還付を受けられる場合も、確定申告をし忘れると還付を受けることができません。

還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間は申告を行うことができますが、申告しない限りは受け取ることができないので注意しましょう。

「勤労学生控除」制度とは

弁護士

勤労学生控除とは、納税者自身が勤労学生に該当する場合に受けることができる所得控除のことです。

「勤労学生」というのは、以下の要件にすべて当てはまる学生のことを指します。

勤労学生控除の要件
  • 給与所得などの勤労による所得がある
  • 合計所得金額が75万円以下で、勤労による所得以外の収入が10万円以下
  • 特定の学校の学生、生徒である(該当するか不明な場合は通っている学校の窓口で確認)

勤労学生に該当すると勤労学生控除を受けることができ、控除額は27万円です。

勤労学生控除を受けるには、年末調整または確定申告で申請します

年末調整の場合、扶養控除等(異動)申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して会社に提出します。

確定申告の場合は、確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して提出します。

勤労学生控除の適用を受けるには、学校で交付された証明書の添付または提示が必要となります。

証明書は通っている学校によって異なるため、不明であれば相談しておきましょう。

学生でも確定申告が必要になることもある

最後に、学生の確定申告のポイントをまとめます。

学生の確定申告のポイントまとめ
  • 収入がアルバイト1社のみであれば、基本的に確定申告は不要
  • アルバイト掛け持ちや、副業の収入がある場合は確定申告が必要となる場合あり。ただし、サブバイト・副業の収入の合計が20万円以下であれば確定申告は不要
  • 確定申告はe-Taxが便利だが、事前の準備が必要
  • 確定申告忘れのペナルティーは重い。万一申告忘れした場合は、期限後1ヶ月以内に自主的に申告を

アルバイトをしている学生の場合「確定申告が必要になる場合」と「確定申告が不要の場合」があります。

基本的に1社でアルバイトをしているだけなら勤務先で年末調整を行ってもらえるので確定申告は不要です。

しかし、その他のケースでは必要かどうかしっかり確認しておきましょう。

もっとも、自分がどの分類に該当するかを慎重に追っていけば、それほど難しい話ではありません。

確定申告の要否を正しく理解し、安心して確定申告シーズンを迎えましょう。