クレジットカードは買い物の際に便利である反面、不正利用の被害が後を絶ちません。
基本的に不正利用の被害はカード会社から補償されますが、それでも犯人を逮捕してほしいですよね。
そこで今回はクレジットカードを不正利用された場合、犯人を逮捕できるのか、警察への届け出の要否などを解説します。
- クレジットカード不正利用で犯人を逮捕するのは難しいと言われている
- 不正利用の際に適用される罪状は、犯人がカードを入手した状況によって変わる
- 不正利用の被害が確認できた場合、まずはカード会社へ連絡して利用停止
- カードが手元にあるかどうかで届け出の順番が異なる
クレジットカード不正利用での逮捕は難しい
クレジットカードの不正利用の犯人を逮捕するのは難しいと言われています。
その理由は、不正利用による真の被害者がカード所有者ではない、という点にあります。
しかし不正利用によって犯人が逮捕された事例も数多くあり、逮捕できないと諦める必要はありません。
不正利用による逮捕が難しい理由
不正利用が起きた際の被害者がカード所有者ではなくカード会社とみなされることが多く、被害届を出すかどうかはカード会社に委ねられることがあるためです。
不正利用で決済が行われたとしても、お店に代金を支払うのはカード会社です。
そのため、カード利用者は損害を被っていないために被害者とはならず、カード会社が被害者とみなされるのです。
しかし実際には、カード会社からは被害届を出さないことが多いようです。
不正利用により逮捕された事例もある
実際にはクレジットカードの不正利用により逮捕された事例もあります。
いくら被害額が補償されると言っても、犯人が得するだけという状況は見過ごせないですよね。
逮捕に至る可能性も0ではありません。
過去には、以下のようなケースで実際に逮捕に至った例があります。
- 業務中に顧客から預かったクレジットカードの番号を撮影・不正利用
- 置引で入手したカードで不正利用
犯人が逮捕されるのは難しいと言われていますが、逮捕された実例がある以上は、被害届を出す意味があると言えます。
クレジットカードの不正利用に適用される罪状
クレジットカードの不正利用で逮捕された場合、どのような罪状が適用されるでしょうか。
それは不正利用した際のカードの入手経路によって異なります。
ここからはクレジットカード不正利用のパターンごとに、適用される罪状を解説します。
落ちていたクレジットカードを所有していたら遺失物横領罪
カード利用者が落としたクレジットカードを拾い、警察に届ける意思もなく所有していた場合は遺失物横領罪が適用されます。
クレジットカードに限らず、落とし物を見つけた際は警察に届けなければいけません。
そのため拾得者がカードを不正に使用していてもしていなくても、他人のカードが手元にあると発覚した時点で罪に問われる可能性があります。
財布からカードを抜き取ったら窃盗罪
他人の財布からクレジットカードを抜き取って入手した場合は窃盗罪に当たります。
クレジットカード以外でも他人の物を盗むのは犯罪にあたります。
こちらもカード使用の有無にかかわらず、罪に問われる可能性があります。
不正に取得したカードで買い物をしたら詐欺罪
遺失物横領罪や窃盗罪は所有しているだけで適用される可能性がある罪状ですが、さらにそのカードを利用して買い物をすると、詐欺罪が適用されます。
不正利用した犯人が、クレジットカード加盟店に対して「カード所有者である」と偽って買い物をしたことになるからです。
不正利用によって逮捕された場合の処分の流れ
もし不正利用の犯人が逮捕された場合、被疑者は以下の流れで処分されます。
- 10日以内の勾留
- 容疑が濃厚と判断されたら起訴
- 裁判により量刑が決定
クレジットカード不正利用に関する過去の判例を探してみたところ、平成14年に他人のクレジットカードを入手して利用した事件で、詐欺罪が適用されています。
カードの入手方法によっては、窃盗罪や遺失物横領罪も適用され、さらに重い懲罰を課せられることもあるかもしれません。
クレジットカードのセキュリティコード(CVV)とは?種類と役割を解説クレジットカードが不正利用された際に取るべき行動
もしあなたが所有するクレジットカードが盗難に遭い、不正利用されてしまった場合に取るべき行動を解説します。
不正利用が発覚した際には速やかに、被害が大きくならないように手を打つ必要があります。
また犯人逮捕の可能性を別にしても、カード会社からの補償が適用されればあなたの損失を埋めてくれる可能性があります。
対応の仕方は、大きく「盗難により不正利用被害に遭った場合」と「その他の理由で不正利用被害に遭った場合」に分かれます。
盗難被害に遭った場合
盗難などの理由によりカードが手元になく、不正利用の被害に遭ってしまった場合は、以下の手順を踏む必要があります。
- カード会社へ連絡しカードの利用停止をする
- 警察に被害届を提出する
カード会社へ連絡してカード利用を止めてもらう
不正利用に気づいたら、まず最初にやることは、カード会社へ連絡してカードの利用を停止することです。
連絡してカード利用を止めてもらえば、不正利用による被害を最小限に食い止めることができます。
しかしこのまま放置してしまうと、あなたへの被害額はより一層大きくなる可能性があります。
そうならないためにも、カード会社へ連絡してカードの利用を停止してもらいましょう。
警察に被害届を提出
カード会社に連絡をし、盗難に遭ったことを伝えると、カード会社から警察へ被害届を提出するように指示されます。
指示に従い警察に被害届を提出しましょう。
この時に発行される被害届の受理番号をカード会社に申告する必要があるので、忘れずに記録しておきましょう。
カードが手元にある場合
一方、カードが手元にあるにも関わらず不正利用にあってしまった場合、被害届を出すか否かはケースバイケースです。
盗難の場合と違って、被害届を出すかどうかはカード会社に委ねられてしまいます。
手元にあるカードが不正利用された場合は、カード会社へ連絡した後に警察へ被害届を出すかどうかカード会社の指示を仰ぎましょう。
残念ながらカードが手元にあるにも関わらず不正利用にあってしまった場合は、警察が犯人へたどり着くのは極めて困難だとされています。
手元にあるカードが不正利用される例
カードが手元にあるにも関わらず、不正利用されてしまう原因は、フィッシング詐欺やスキミングが挙げられます。
有名企業を装った電子メールに添付されているURL(なりすました企業の偽サイト)に誘導し、カード情報を入力させることでその情報を盗み取る
カードの磁気に記録されているデータをスキマーという装置を使って盗み取り、全く同じ情報を持つカードを複製する行為
これらの詐欺はカード利用者が被害に気づかず、発覚が遅れてしまうために警察が犯人を逮捕するのが難しいのです。
前述した不正利用による逮捕事例は、盗難・紛失によって起きたものです。
カードが手元にある状態での不正利用は捜査が難しく、逮捕事例がかなり少ないようです。
不正利用被害に対する補償
クレジットカードを不正利用された場合、被害額を補償する制度が用意されています。
被害額がすべて補償されるかどうか、カード会社へ連絡する際に確認しておきましょう。
利用者本人が意図していないところでカード情報が流出していたり、知らない間にカードを盗まれたり、故意でないケースは基本的に補償制度が適用されます。
補償されない事例
不正利用された場合、以下のようなケースでは補償されない可能性があります。
- 不正利用の決済日から61日以上が経過している
- カードを他人に渡した
- 暗証番号をカード裏に記すなど、自分以外の他人が暗証番号を知る術がある
- 本人の許可に関係なく家族が使用した
一定期間を過ぎてしまうと補償されない他、所有者に故意または重大な過失があると、補償が適用されなくなってしまいます。
クレジットカード不正利用を防ぐ5つの対策
不正利用に今後遭わないために取るべき対策を解説します。
逮捕できるか、補償が適用されるかに関係なく、不正利用被害に遭わないに越したことはありません。
ここではすぐに始められる対策を5つ紹介します。
利用明細をこまめに確認する
クレジットカードの明細はこまめに確認しましょう。
ほとんどのクレジットカードでWEB明細があるため、スマホで簡単にチェックできます。
また、最近では家計簿アプリによって複数枚のクレジットカードの使用履歴をまとめて管理することができます。
こうした便利なツールを活用し、日頃から確認する癖をつけておけば、不正利用に早期に気づき、手を打てますよ。
カードを他人に預けない
自分名義のカードを他人に預けないようにしましょう。
自分以外の人に預けてしまうと、勝手に使われてしまった場合不正利用とみなされなくなります。
また利用の有無にかかわらず、その人経由であなたのカード情報が漏出してしまう可能性もあります。
相手がたとえ信頼できる人だとしても預けないようにし、自分名義のカードは手放さずに持っておきましょう。
カード番号情報をパソコン・スマホ上で記録しない
カードの情報をパソコンやスマホに記録しないことも、不正利用から守る手段の一つです。
カード情報を保存しておくことでネット通販などの決済が簡単になります。
しかしその反面、ハッキングなどされたときにカード情報が盗まれてしまうリスクとも隣り合わせとなってしまいます。
そのため不正利用を防ぐのであれば、多少不便になるとしてもパソコンやスマホにカード情報を記録しない方が良いでしょう。
使わなくなったカードを解約する
また使わなくなったカードは解約しておきましょう。
あなたが使わなくなったとしても、そのカードがどこからか情報が漏れており、不正に利用されている可能性も十分にあり得ます。
そのため使わないカードは解約して、情報を取得した人が使えないように自己防衛しておきましょう。
あやしいサイトやメールに注意
フィッシング詐欺は大手企業を騙ったメールを使ってカード情報を盗みます。
その手口は巧妙で、一見しただけでは本物か偽物か判別が難しいです。
身に覚えのないメールは絶対に開かないようにしましょう。
また、個人が運営する海外サイトでの買い物も危険のおそれがあります。
アドレスバーに鍵のついたサイトなら「SSL認証」が行われており、第三者機関により安全性が担保されています。
必ず信頼できるサイトか見極めた上で買い物をしましょう。
不正利用に気付いたら、速やかにカード会社へ連絡!
- クレジットカード不正利用で犯人を逮捕するのは難しいと言われている
- その一方で実際に不正利用で逮捕された事例はいくつかある
- 不正利用の際に適用される罪状は、犯人がカードを入手した状況によって変わる
- また過去には、実際に有罪判決が下された事例もある
- 不正利用の被害を確認したら、まずはカード会社へ連絡して利用を止めてもらおう
クレジットカードの不正利用の犯人が逮捕される可能性は低いと言われています。
しかし過去逮捕された事例もあり、また有罪判決も下されています。
不正利用が発覚したら、まずはカード会社ヘ連絡し指示を仰ぎ、必要に応じて警察へ被害届を提出しましょう。
また不正利用による被害はカード会社より補償されることがほとんどです。
しかし所有者に落ち度があればその限りではないため、自分のクレジットカードはくれぐれも大切に扱いましょう。
クレジットカードを不正利用されたかも…直ぐにやるべきことと補償されないケース