アメックスのカードはトラベル&エンターテインメントに特化したカードと評判です。
“トラベル”の特典は空港ラウンジやホテルの特典がパッと頭に浮かびますが、旅行中の保険が手厚いことも含みます。
通常はゴールドカード以上の特典になりますが、アメックスの場合、一般カードでも旅行特典・旅行保険が充実しています。
この記事ではアメックスの一般カードである、アメックスグリーンの海外旅行保険に焦点をあてます。
特長・弱点、さらに手厚くする方法について解説します。
- 賠償責任や救援者費用など、満遍なく備わっている
- 実用的な携帯品損害保険金が備わっている
- 同行する親族も補償の対象
- 傷害・疫病治療費用保険金が心許ない
- 自動付帯ではなく利用付帯
※本記事の価格は全て税込みです。
カード名 | アメックスグリーン | ゴールド・プリファード・カード | ANAアメリカン エキスプレス・カード | ANAアメリカン・エキスプレス ゴールド・カード |
年会費 | 月会費制1,100円/月 (年合計13,200円) | 39,600円 | 7,700円 | 34,100円 |
還元率 | 0.3%~1.0% | 1.0%~3.0% | マイル還元率 0.5%~1.5% | マイル還元率 0.5%~3.0% |
国際ブランド | American Express | American Express | American Express | American Express |
キャンペーン | 合計35,000ポイント プレゼント | 新規入会&条件達成で 合計120,000ポイント 獲得可能 | 合計18,000マイル 相当獲得可能※1 | 合計68,000マイル 相当獲得可能※1 |
申込対象 | 20歳以上 パート・アルバイト・学生不可 | 20歳以上 パート・アルバイト・学生不可 | 20歳以上 パート・アルバイト・学生不可 | 20歳以上 パート・アルバイト・学生不可 |
発行スピード | 最短3営業日 | 通常1~3週間 | 1週間〜3週間 | 1週間〜3週間 |
公式サイト | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
※1 ANA アメリカン・エキスプレス提携カード メンバーシップ・リワード®のポイントをマイルに移行した場合。
アメックスグリーンの海外旅行時の補償内容
アメックスグリーンには、海外旅行保険が備わっています。
そのため、海外で何か事故に巻き込まれケガを負った場合、病気にかかった場合などに補償を受けることができます。
旅行代金をカードで決済
アメックスグリーンでは、旅行代金を同カードで決済することで、旅行先での事故や病気の際に補償を受けることができます。
ここで言う「旅行代金」は、
- 電車、バス、飛行機料金(出国前だけでなく、出国後の決済も対象)
- 海外パッケージツアー料金(出国前の決済のみ対象)
のことを指します。
補償の種類と金額は、以下の表をご覧ください。
なお、これらの補償を受けられる海外旅行の期間は最長90日となっています。
保険の種類 | 内容 | 補償金額 | 補償金額の相場 |
---|---|---|---|
海外旅行保険 | 傷害死亡・後遺障害 | 最高5,000円 | 最高500万円~1億円 |
傷害・疾病治療 | 最高100万円 | 最高50~300万円 | |
賠償責任 | 最高3,000万円 | 最高1,000~5,000万円 | |
携行品損害 | 最高100万円 | 最高15~100万円 | |
救援者費用 | 最高200万円 | 最高100~400万円 | |
国内旅行保険 | 傷害死亡・後遺障害 | 最高5,000万円 | 最高1,000~5,000万円 |
このようにさまざまな補償が用意されています。
各補償の適用条件についても詳しく解説します。
- 傷害死亡保険金
- 傷害後遺障害保険金
- 傷害治療費用保険金
- 疫病治療費用保険金
- 賠償責任保険金
- 携帯品損害保険金
- 救援者費用保険金
傷害死亡保険金
急激かつ偶然で予測ができない事故によりケガを負った場合に支払われます。
事故発生日からその日を含めた180日以内に死亡した場合が対象です。
病気や疫病による死亡は含まれません。
傷害後遺障害保険金
急激かつ偶然で予測ができない事故によりケガを負った場合に支払われます。
事故発生日からその日を含めた180日以内に身体の一部を失う、機能に重大な障害が残った場合が対象です。
症状によって払われる額は変動し、障害後遺障害保険金額の3〜100%になります。
傷害治療費用保険金
急激かつ偶然で予測ができない事故によりケガを負い、医師の治療を受けた場合に支払われます。
1回の事故・病気につき、事故発生日からその日を含めた180日間にかかった費用に対して補償されます。
疫病治療費用保険金
海外旅行中または旅行後72時間以内に発病、それにより医師の治療を開始した場合に支払われます。
病気だけではなく、特定の伝染病に感染した場合も対象です。
補償が受けられる期間は傷害治療費用保険金と同様です。
賠償責任保険金
他人を死傷させてしまう、他人の財物を壊してしまうなどにより、法律上の損害賠償責任を負った場合に支払われます。
なお、他人の財物にはレンタル業者から借りている旅行用品も含まれます。
携帯品損害保険金
携帯品(カメラ、宝石、衣類など)が盗難に遭う、破損する、火災などの偶然の事故で損害を受けた場合に支払われます。
携帯品1個(1対)に対して10万円まで補償されます。
また、100万円は年間限度額であり1旅行中に受けられる最高額は30万円となります。
救援者費用保険金
旅行者が遭難、病気やケガで入院した際などに、被保険者やその法定相続人が駆けつけるため支出した費用(交通費や宿泊費)が支払われます。
旅行代金をカード以外で決済
最初にお伝えしました通り、アメックスグリーンは旅行代金を同カードで支払うとさまざまな補償が受けられます。
では、旅行代金をアメックスグリーン以外で決済してしまうとどうなるのでしょうか…。
結論から申し上げますと、補償を受けることができません。
クレジットカードには、所持しているだけで保険を受けられる「自動付帯」、使用することで保険を受けられる「利用付帯」があります。
アメックスグリーンは、この内利用付帯に分類されます。
そのため、旅行代金を他の手段で支払ってしまわないように注意する必要があります。
国内旅行保険との違い
アメックスグリーンには、国内旅行保険も用意されています。
内容としては、傷害死亡保険金と傷害後遺障害保険金しか用意されていませんので、海外旅行保険と比べると補償は少ないです。
もちろん、国内旅行の場合は疫病に感染するリスク、携帯品を盗まれるリスクなどがほぼないため、海外旅行保険ほどの補償はいらないでしょう。
ただ、入院や手術、通院に対する補償が受けられない点は不安が残ります。
保険によりますが、入院費であれば1日2,000〜10,000円、手術費であれば数万円〜数十万円まで補償されるものもあります。
これが受けられないのは、当事者になった場合かなりの痛手になってしまいますね。
各保険金、どれくらいあれば安全か
それぞれの保険金でセーフティと言える金額は人によって異なります。
特に死亡保険金は、一家の収入源の方が亡くなった場合だと5,000万円でも少ないでしょう。
ただ、「傷害治療費用保険金/疫病治療費用保険金」「携帯品損害保険金」はどんな方でも多めに欲しいところです。
前者は、海外では健康保険が適用されないため、治療費で数百万円という莫大な金額を請求されてしまう可能性があるためです。
目安として、後ほどご紹介する盲腸の手術代を鑑みた、300万円程度の補償は受けられるようにしましょう。
後者は、海外では治安が悪いところも多いため、盗難のリスクをなるべく減らすためです。
こちらは、よほど高価な持ち物がない限り、アメックスグリーンの100万円で事足りるでしょう。
補償を手厚くする方法
例えば、アメックスグリーンでは傷害治療費用保険金・疫病治療費用保険金がそれぞれ100万円と、かなり心許ない額になっています。
目安の300万円にはとても届かないですよね。
そんな時は、他のクレジットカード付帯保険と合算することで、足りない分を補うことができます。
傷害治療費用保険金・疫病治療費用保険金がそれぞれ200万円分集まるように、付帯保険のついたカードを契約すればOKです。
カードは、アメックスグリーンで旅行代金を払う関係上、所持しているだけで補償が受けられる自動付帯を選びましょう。
注意点として、傷害死亡保険金・傷害後遺障害保険金は他のクレジットカード付帯保険と合算されません。
最も高い金額が適応されます。
アメックスグリーンの家族特約
ここまで補償内容について解説してきました。
しかし、これらはカード契約者本人しか受けられないのでしょうか…。
例えば、自分のみしか適用されないようだと、家族で旅行した場合に自分以外がケガをしてしまうと結局費用がかかってしまいます。
それでは自分が保険に入っていても意味がありませんよね。
しかし、アメックスグリーンにはそんな時に安心の「家族特約」が用意されています。
- カード会員の配偶者、生計を共にする親族は補償を受けられる
- 家族カードを持っていなくても補償が適用される
※親族とは、6親等以内の血族、3親等以内の姻族を指します
このように家族特約の制度があるので、同行する家族も安心して旅行を楽しめます。
なお、家族特約で受けられる補償額は以下の通りです。
保険の種類 | 内容 | 補償金額 |
---|---|---|
海外旅行保険 | 傷害死亡・後遺障害 | 最高1,000万円 |
傷害・疾病治療 | 最高100万円 |
|
賠償責任 | 最高3,000万円 | |
携行品損害 | 最高100万円 | |
救援者費用 | 最高200万円 |
|
国内旅行保険 | 傷害死亡・後遺障害 | 最高5,000万円 |
カード会員本人とほぼ同等の内容になっていますね。
唯一の違いは、傷害死亡保険金・傷害後遺障害保険金がそれぞれ最高1,000万円に減ってしまっているところです。
ただ、基本的にこれらの保険が適応される機会は少ないでしょう。
それでも、もしもの時を考えると不安と思う方は「家族カード」の申し込みを検討してみましょう。
家族カードを所持していれば、傷害死亡保険金・傷害後遺障害保険金もカード会員本人と同様の、最高5,000万円受け取ることができます。
家族カードは1枚につき、月会費550円がかかります。
アメックスグリーンの海外旅行保険の特長
アメックスグリーンの海外旅行保険で、長所としてまず挙げられるのは安定した補償内容です。
賠償責任や救援者費用など、満遍なく補償が揃っています。
使われる機会が多い携帯品損害保険金も備わっており、実用的と言えます。
補償金額も傷害・疫病治療費用保険こそ少ないですが、それ以外は他のカードの海外旅行保険と比べても充分な金額が用意されています。
そしてこれらが、カード契約者本人以外の親族にも適用されるのも嬉しいポイントです。
海外旅行保険において、同行する親族も補償の対象となる点は大きなメリットと言えるでしょう。
家族全員で安心して海外旅行を楽しむことができます。
家族特約については、備わっていない保険や家族カードを発行しないと受けられない保険も多いです。
その点では、家族カードの発行もなしに保険が適用されるアメックスグリーンは、一歩リードしていると言えるでしょう。
アメックスグリーンの海外旅行保険の短所
続いてアメックスグリーンの海外旅行保険の短所について解説します。
長所だけでなく短所も理解した上で、自分に適した保険なのか判断しましょう。
- 傷害・疫病治療費用保険金が心許ない
- 自動付帯ではなく利用付帯
傷害・疫病治療費用保険金が少ない
傷害治療費用保険金・疫病治療費用保険金がそれぞれ100万円までしか受け取れない点がデメリットです。
例えば、激しい腹痛に襲われる「盲腸」にかかってしまった場合、緊急手術の必要があります。
放置しておくと盲腸が破裂し、細菌が血流に感染。敗血症に陥ってしまう危険があるからです。
しかし、海外で治療を受けるとなると健康保険が適用されません。
国(都市)名 | 盲腸(虫垂炎)の治療費(千円以下切り捨て) |
---|---|
ハワイ(ホノルル) | 300万円 |
イギリス(ロンドン) | 94万円~135万円 |
フランス(パリ) | 108万円 |
中国(北京) | 7万円~155万円 |
タイ(バンコク) | 87万円~105万円 |
シンガポール | 111万円~167万円 |
日本 | 60万円(10割負担の金額) |
この表のように、日本で治療を受けるよりも何倍もの値段がかかってしまう地域もあります。
盲腸以外にも、旅行先でどんなケガを負ってしまうかは分かりませんので、海外旅行で100万円という補償金は心許ないです。
先ほどご紹介したように保険を併用することで補いましょう。
自動付帯ではなく利用付帯
アメックスグリーンは利用付帯となっているので、旅行代金を同カードで支払わないと補償を受けることができません。
クレジットカード保険には一部が自動付帯、一部が利用付帯のものがありますが、アメックスグリーンはすべて利用付帯です。
そのため、クレジットカードでの支払いをしなかった場合、一切の補償金が発生しません。
ただ、利用付帯は一般的に自動付帯よりも補償金が高く設定されていることが多いです。
故にメリットと捉えることもできます。
アメックスグリーンの海外旅行保険の使い方
最後にアメックスグリーンの海外旅行保険の使い方をご紹介します。
保険が備わっていても、使い方が分からなければいざという時に困ってしまいます。
- 旅行中はグローバルホットラインに問い合わせる
- 電話番号は国ごとに違う
- 付保証明書を持っておくと安心
- 帰国後はアメリカンエキスプレス保険ホットラインに問い合わせる
海外旅行中の問い合わせ
海外旅行中に事故に巻き込まれた場合などは、まずグローバルホットラインに連絡しましょう。
ここでキャッシュレス決済のできる医療機関の紹介など緊急時の支援を受けることができます。
また、海外旅行保険について問い合わせることも可能です。
24時間通話無料、日本語対応となっていますので、海外旅行先で困った時は気軽に連絡してみましょう。
注意点として、滞在地域によって連絡先が異なります。
アメリカンエキスプレス公式サイトのグローバルホットラインのお問い合わせページから確認しましょう。
付保証明書があると安心
付保証明書は、自分が海外旅行保険に加入していること、具体的な補償内容が書かれた書類です。
旅行先によって提出が必要となる場合があるため、常に携帯しておくと安心でしょう。
緊急時の連絡先も記載してあります。
帰国後の問い合わせ
帰国後に保険金を請求する場合、または海外旅行保険のことで問い合わせをしたい場合は、アメリカンエキスプレス保険ホットラインに連絡をしましょう。
0120-234586
通話料無料で土日祝休、9:00~17:00までの受け付けとなっています。
また、先ほどご紹介した付保証明書の発行依頼はここで受け付けています。
アメックスグリーンで安心の海外旅行を
以上、アメックスグリーン海外旅行保険についてのご紹介でした。
最後に今回解説してきた内容をおさらいしましょう。
- 旅行代金決済で受けられる利用付帯
- 補償の種類が豊富
- ただし傷害・疫病治療費用保険金はやや心許ない
- 家族も安心の家族特約つき
アメックスグリーンの海外旅行保険は、旅行代金を決済することで補償を受けられる利用付帯です。
補償の種類も充実しており、海外旅行時には嬉しい携帯品損害保険金もついています。
しかし、傷害・疫病治療費用保険金については100万円とやや不安が残ります。
他のカード付帯保険と合算して補えると安心でしょう。
そして、これらが家族特約によりカード契約者本人でなくとも適用される点はありがたいです。
もしもの時の負担を減らすため、アメックスグリーンを検討してみてはいかがでしょうか。