クレジットカードは、いつまでも持ち続けるものとは限りません。保有期間の長短を問わず、いずれ解約したくなる日が来ることも。
ステータスのある「アメックスカード」も、自分には合わないと感じる人もいるでしょう。
この記事では、アメックスの解約に関する情報をお知らせします。
- 解約の電話は平日のみ受付
- “年会費無料”などで引き留められることも
- メンバーシップ・リワードのポイントは消滅
- リボ残高は一括請求
- ETCカードも無効になる
アメックスを解約する理由について
アメリカン・エキスプレス・カードを解約するのは、どういう理由からなのでしょうか。
以下のような理由が考えられます。
《カード自体のデメリットによるもの》
- 高い年会費が負担
- ポイント還元率が低い
- 目安としての利用限度額を引き下げられた
- 高額決済をしたところ、通帳の写し提出を要求された
- 海外で意外と加盟店がない
《個人の都合によるもの》
- あまりカードを使わない
- 他のカードがメインになった
- 家庭環境の変化による、ライフスタイルの変更
- 航空系等、アメックスの提携カードを入手したので不要となった
- 初年度年会費無料キャンペーンで手に入れたが、年会費を支払いたくはない
口コミを見ると、上記の理由をはじめとする、さまざまな理由が見受けられます。
カードを使わない、使わないのに年会費が高い、ポイント還元率が低いというのは、他のグレードの高いカードでもあることです。
年会費に見合った使い方ができないなら、解約するのがいいでしょう。
そしてアメックスの場合に顕著なのが、他のカードと根本的な思想が異なっているということ。
入会時は意識しなくても、ユーザーによっては使っているうちにズレが大きくなっていきます。
たとえばアメックスの場合、長く使っていることにより限度額(アメックスの場合は目安の額)を増やしてもらうということがありません。
利用者の年収に基づき、利用可能額が変動するカードだからです。
そして実際に使おうとして、海外、特に米国以外の一般クレジットカード加盟店で、意外と利用できないこともあります。
VISAかMastercardを持っているほうが確実と言えるでしょう。
一番、普通に使えるのは日本です。
JCBと提携しているため、アメックス加盟店でなくても使えるケースが多くなっています。
あまり苦情は聞かないものの、アメックスにはキャッシング枠がないという、他のカードと大きく違う特徴もあります。
お金を借りる予定がなくても、海外でのキャッシングは安い手数料で現地通貨の作れる、もっともいい方法です。
これができないとなると、結局、他のカードを持たないといけなくなります。
こうしたさまざまな理由で“解約”することとなりますが、手続きはどうしたらいいでしょうか?
解約する方法を見ていきましょう。
アメックスを解約する方法
最近のクレジットカードは、簡単に解約できるものが増えました。
会員用サイトにログインして、解約申込みをするだけで解約できるカードも多くなっています。
ですがアメックスの場合、会員用サイトどころか、Q&Aページに解約の方法すら記載されていません。
カードを解約した場合にポイントがどうなるか(答:無効になる)などの記事がQ&Aにあるのに、解約の具体的な方法が載っていないのは不親切に思えます。
とはいえ、電話すれば解約できます。
では、手順を説明していきましょう。
- カード裏面の問い合わせ電話番号に電話
- 自動応答で、すぐ解約できる
- オペレーターと話をすることも選べる。その場合、口頭で解約意思を伝える
電話がつながれば、アメックスらしく解約予定者であっても懇切丁寧な対応をしてくれます。
営業時間に注意
アメックスの場合、平日(9:00~17:00)しか電話が通じません。
解約はカード紛失のような緊急案件ではないので、仕方ないでしょう。これは多くのカードでも同様です。
優良顧客は解約を引き留められる
解約の際は自動応答でできるカードも増えましたが、多くのカードではオペレーターに解約の意思を伝える必要があります。
自動応答で解約可能なアメックスの場合も、オペレーターにつなげてもらい、話をする機会は多いでしょう。
アメックスに限りませんが、優良顧客が解約の意思を伝えると、引き留められることが多いものです。
自動応答で解約した人であっても、優良顧客の場合、翌日に電話が掛かってきて引き留められるということもあります。
利用実績がきちんとあるユーザーは、カード会社にとっては重要な顧客であり、売上の源泉なので、引き留める価値があるのです。
電話口で解約意思を取り下げてもらうよう、働きかけをするのは企業としては当然でしょう。
そして、引き留めの手段として、年会費を1年無料にしてくれたり、ポイントを特別に付けてくれたりすることがあります。
もちろんこれは、引き留めに成功することがアメックスにとっても利益になるからこそです。
このような利益を受ければ、もう1年ぐらい持ってみるかと思う人も多いものです。
さて、引き留められない場合も解約の理由は必ず訊かれます。これは、今後のサービス向上のため必要な調査でしょう。
この際は、本音を言えばいいでしょう。
解約を利用して、年会費無料やポイントを狙える?
解約を引き留めるために、ポイントを付けてくれたり、年会費を1年無料にしてくれたりすることがあると聞けば、これで得ができるのではないかと考える人も中にはいるかもしれません。
解約する気もないのに、電話して、有利な条件を引き出そうというのです。
ですが、狙ってそうそう上手くはいかないと思われます。その理由は次の通り無数に考えられます。
- 顧客の引き留めに用意している予算がどの程度か、利用者にはわからない
- 解約を申し出る時期によって、引き留め予算はバラバラと推測される
- そもそも、自分が優良顧客であるという保証がない
- 電話口で、ポイント狙いの顧客と見抜かれるかもしれない
利用状況の同じ複数の顧客が同じ条件で解約を申し出たとしても、引き留められることも、そのまま解約手続を進められてしまうこともあり得ます。
またアメックスの場合、上級顧客の概念が他のカードと異なっていると考えられます。アメックスはとにかく、ユーザーの年収を重視するからです。
利用実績が多いユーザーであっても、年収が少ないとアメックスの場合は優良顧客と思ってくれないかもしれません。
アメックス解約の際の注意点
カードを解約する機会は、たびたびあることではありません。ですから、つい失念してしまう情報も中にはあるでしょう。
アメックス解約の電話を入れる際、オペレーターが注意点を説明してはくれますが、あらかじめ準備しておけば戸惑うことはありませんよね。
ただし、公式サイトに明記されている情報と、世間の噂レベルの注意点とがあります。
世間の噂とは、アメックスは退会後1年間は再入会できないというものです。なんらかの内規は存在するかもしれませんが、明確な根拠まではありません。
貯めたポイントは解約で無効になる
アメックスカードを解約すると、それまで貯めたメンバーシップ・リワードのポイントがただちに消滅します。
これはアメックスに限らず、楽天スーパーポイントなど共通ポイントを貯めるカードでもない限り、どのカードでも当然です。
解約する際には、できるだけ事前にポイントは使い切りましょう。使い方は後述します。
未請求額はポイント対象外、リボ払い等は一括請求
カードの解約は、請求日を迎えていない利用額が残っていても可能です。これはアメックスでも同様です。
まったく使っていないカードでない限りは、解約時に未請求額が存在するのはごく普通のことです。
解約後も、本来通りに引落しが行われます。解約後も、銀行への入金を忘れないようにしましょう。
すでに解約してしまっているので、この請求額についてはポイントの対象外です。
アメックスのリボ払い「ペイフレックス」を使っていた人は、リボ残高があっても一括払いで請求が来ます。
ボーナス払い、分割払いも同様です。まとめて残高を支払えない人は、そもそも解約をしてはいけません。
年会費が発生する前に解約しよう
クレジットカードの年会費は、支払が確定する基準日までに解約すれば、徴収されないのが普通です。
アメックスの場合、カードの有効期限の月(カード券面に記載)イコール年会費の請求月となっています。
基本的には有効期限の月のカード締め日より前に解約を申し出る必要があります。
ただし、基準日を少々過ぎて年会費が発生しても、返してくれる場合があるようです。
通常、引き落とし日は10日ですが、10日に引き落とされても当月中の解約申し出であれば、いったん徴収した年会費を返金してくれる可能性はあります。
もっとも、公式サイトに書かれている情報でもないので、保証の限りではありません。
カードを解約する際は年会費が発生しないよう、いつまでなら年会費が発生しないのか、事前に詳細に問い合わせておくのがいいでしょう。
会員専用サイトの閲覧はできなくなる
多くのクレジットカードにおいては、解約後もしばらくはログインして閲覧する会員専用サイトで、支払額の確認をすることが可能です。
ですがアメックスの場合、解約後はログインができなくなります。
残った支払額については郵送で明細書が送られてきますので、こちらを確認してください。
うっかり支払い漏れのないよう気を付けましょう。解約後の支払い漏れも“個人信用情報に記録”されてしまいます。
ETCカードも無効になる
ETCカードをアメックスで作っていると、カード解約時に無効になります。
これは、どのクレジットカードでも同じでしょう。
アメックスのETCカードは、年会費無料ではあるものの、新規発行手数料が有料(935円・税込)のカードです。
他のクレジットカードには、ETCカードの年会費・発行手数料ともに無料のものが多数ありますので、アメックス解約前にそちらを変えておくといいでしょう。
公共料金引落しの扱い
アメックスで公共料金や通信費などを支払っている人は多いはず。メインのカードならなおさらです。
解約すると、これらの引落しはすべて無効となります。
解約前の利用日になっている請求は、未払い残高として他のカード利用分と一緒に請求されますが、次月はもう引き落とされません。
カード引落し不能で大変なことになるかというと、各公共料金から請求書が順次届くので、特に心配するほどのことはありません。
請求書払いをしたくない人は、早めに他のカードや銀行に、引落し先変更の手続きをしてください。
公共料金の引落し開始は時間が掛かります。アメックス解約予定の2カ月前には移行を終えておくのが確実です。
貯まっているポイントを使い切ろう
解約すると、貯めたポイントは無効になります。
解約しようと思うまで、ポイントを一切気にしておらず、貯まっていることに気づいていない人もいるはずです。
もったいないので使い切ってから解約したいものです。
アメックスの場合、もっとも有利な移行はANA等のマイル移行です。
ただし解約直前であれば、とりあえずなんでもいいから使いたいと思うのではないでしょうか。
以下の方法があります。
共通ポイントに交換する
貯まっているポイントを無駄にしない方法のひとつが、共通ポイントに移行すること。
共通ポイントは業界をまたいで現金代わりに使えるポイントです。アメックスは、以下の共通ポイントに交換可能です。
- Tポイント
- 楽天スーパーポイント
どちらも、それまで使っていなかったとしてもすぐアカウントを作れます。
交換レートは決してよくはありません。そして、端数が生じやすい単位設定です。
→ 共通ポイント1,000
100円のカード利用で貯めた1ポイントが、最終的に0.33円の価値で交換されることになります。
年間参加費3,300円(税込)のメンバーシップ・リワードシップ・プラスに加入している場合は、多少交換率が上がります。
→ 共通ポイント1,500
この場合だと、1ポイント0.5円の移行です。
共通ポイントへの移行は、カード解約前にいい方法ですが、端数が多く出るのが難点です。
ヨドバシカメラや高島屋の商品券との交換もありますが、レートと交換単位は、共通ポイントの場合とまったく同じです。
カード利用料金に充当する
端数まで使い切りたい場合は、この方法がおすすめです。
ただし、大前提として最後の利用代金が請求前である必要があります。
解約後の残存利用代金に充当することはできないので、あらかじめ計画し、貯まったポイントを充当してから解約するようにしましょう。
レートは基本的に共通ポイントの場合と同じですが、ポイント充当の単位が1からOKとなっていますので、使いきりやすくなっています。
アメックスの場合、新たなポイントの付与時期は、代金精算後ではなく、データ計上時です。
ですから、最後の代金支払でまたポイントが増えてしまうということはありません。
利用のタイミングを計れば、ポイントをゼロにできます。
充当するカード決済が次の種類である場合、例外的にお得なレートとなります。
ただし、これはメンバーシップ・リワード・プラス加入の人のみの特典です。
アメックス1ポイント → 1円
ホテル・旅行会社での利用
アメックス1ポイント → 0.8円
アメックスの解約に特殊なことはない
以上、アメックスの解約について見てきました。
解約前に確認すべきことを行い、損をしないようにしましょう。
- アメックスは特殊なカードだが、解約については普通
- 他のカードと同様、ポイントと年会費に気を付ける
- ポイントを使い切るためには、利用代金への充当がいい