「クレジットカードのブラックリストに載ってしまう」
そんな話を聞いたことがある人は少なくないと思います。
実際、これはどういうことなのでしょうか。
ブラックリストに載ると、どういうリスクがあるのか。
この記事では、そんな疑問を解決していきます。
また自分がブラックリスト入りしているかを確認する方法や、信用回復方法についても説明します。
- 信用情報機関の個人情報に金融事故履歴が載った状態を俗に「ブラックリスト」と言う
- JICCに開示を申し入れる
- CICに開示を申し入れる
- 全国銀行個人信用情報センターに開示を申し入れる
- 今持っているクレジットカードが使えない
- 新規のクレジットカードが作れなくなる
- ローンが組めなくなる
- お金を借りられなくなる
クレジットカードのブラックリストとは
俗に言う「ブラックリスト」の意味は、個人信用情報機関に登録されている信用情報がキズものになってしまった状態のことです。
個人情報機関にはクレジットカード保有者の氏名・住所などの情報や、過去のクレジットカードの申込状況・使用状況・支払い状況などが記録されています。
クレジットカードやカードローンの支払いが遅れたりすると「金融事故履歴(または異動情報といいます)」が登録され、複数の個人情報機関に情報交換されるのです。
金融事故履歴がある個人は、クレジットカードが作れなくなるなどの生活上の不便を被ります。
以上のことから、顧客をリスト化している「ブラックリスト」というものは厳密には存在しません。
ただし一般化されている名称でもあることから、この記事では「個人信用情報に金融事故履歴が載った状態」を「ブラックリストに載っている」として説明していきます。
ブラックリスト入りする条件
ブラックリスト入りする条件としては、以下のとおりです。
- クレジットカードやローンの返済を無断で61日(または4回)延滞した場合
- クレジットカードの利用規約違反などで強制解約された場合
- 任意整理や自己破産などの債務整理を行った場合
- 携帯電話料金支払い・奨学金の滞納を約3ヶ月行った場合
これらが金融事故情報として氏名や住所、職業や連絡先といった個人情報と一緒に登録されるので、生活の上で制約を受けてしまうのです。
ここに該当しないもの、例えば「数日程度の支払い延滞」や「公共料金の未払い」などはブラックリスト入りの条件に該当しません。
ブラックリスト入りしているか確認する方法
「自分はクレジットカードのブラックリストに載っているのか?」
気になる人もいると思います。
それを確認する方法は、以下のいずれかの信用情報機関に開示を申し入れする方法です。
- JICC
- CIC
- 全国銀行個人信用情報センター
これら3機関は、対応しているクレジットカード会社・銀行・消費者金融が違うだけで、金融事故履歴として異動情報が登録されれば情報は共有されることになります。
具体的な開示申し入れ方法を以下でお伝えしていきます。
JICCに開示を申入れする方法
項目 | 特徴 | サービス日時 | 用意するもの | 手数料 |
---|---|---|---|---|
郵送で開示する方法 | 必要書類をJICCに郵送し、10日程度で開示報告書を取得可能。 | 申込から10日程度で開示報告書が到着 | 開示申込書 必要書類(本人確認書類など) | 1,000円 |
窓口で開示する方法 | 東京・大阪にあるJICC開示センター窓口にて、即日開示報告書を取得可能。 | 平日 10:00~16:00 | 必要書類(本人確認書類など) | 500円 |
インターネットで開示する方法 | スマートフォンに専用アプリをダウンロードして開示報告書を郵送してもらえる。 | 常時可 | ネット環境のあるスマートフォン 本人確認書類 | 1,000円 |
CICはクレジットカード会社および消費者金融、一部ネット銀行が加盟しています。
即座に開示報告書を取得できるのは窓口での受け取りですが、東京と大阪で平日のみ対応可能です。
なお、現在は窓口受付が休止されています(2020年3月時点)。
CICに開示を申入れする方法
項目 | 特徴 | サービス日時 | ご用意いただくもの | 手数料 |
---|---|---|---|---|
郵送で開示する方法 | 必要書類をCICに郵送し、10日程度で開示報告書を取得可能。 | 申込から10日程度で開示報告書が到着 | 開示申込書 必要書類(本人確認書類など) | 1,000円 |
窓口で開示する方法 | 東京・大阪・名古屋・札幌・福岡・仙台・岡山にあるCIC開示窓口のタッチパネル端末機に入力し、即日開示報告書を取得可能。 | 平日 10:00~12:00 13:00~16:00 | 必要書類(本人確認書類など) | 500円 |
インターネットで開示する方法 | 全国どこからでも、パソコンやスマートフォンで開示報告書のPDFをすぐに確認できる。 | 平日・休日 8:00~21:45 | ネット環境のあるパソコン・スマートフォン クレジット等の契約に利用した電話 | 1,000円 |
JICCはCICと同じく、クレジットカード会社および消費者金融が加盟している信用情報機関です。
郵送は10日程度の時間がかかるので、インターネットまたはお近くにお住まいの方は窓口での直接受取がオススメです。
なお、現在は窓口受付が休止されています(2020年3月時点)。
全国銀行個人信用情報センターに開示申入れ
項目 | 特徴 | サービス日時 | ご用意いただくもの | 手数料 |
---|---|---|---|---|
郵送で開示する方法 | 郵送のみ対応 | 申込から10日程度で開示報告書が到着 | 開示申込書 必要書類(本人確認書類など) | 1,000円 |
窓口で開示する方法 | - | - | - | - |
インターネットで開示する方法 | - | - | - | - |
全国銀行個人信用情報センターは、主に銀行が加盟している信用情報機関です。
開示申し入れ方法は郵送のみで、インターネット・窓口対応は受付しておりません。
ブラックリスト入りはどんなリスクがある?
クレジットカードのブラックリストに載ると、どんなリスクがあるのでしょうか。
金融事故情報はクレジットカードだけでなく、銀行や消費者金融にも伝えられるのです。
つまりこれら金融機関すべてにおいて、生活上の不自由が出てきます。
今持っているクレジットカードが使えない
ブラックリストの1つめのリスクは、今持っているクレジットカードが利用停止になることです。
クレジットカードが使えなくなると、日々の買い物に加えて家賃や光熱費といった固定費の支払いもすべて現金振り込みになり、とても不便になってしまいます。
クレジットカードはいわば”前借り”して買い物するものなので、翌月の銀行口座の引き落としができず「支払い能力なし」と判断されてしまうのです。
しっかりと家計管理をしないと、生活必需品すら購入できないことになるので、気をつけましょう。
新規のクレジットカードが作れなくなる
続いてのリスクは、今持っているカードが使えなくなるばかりか、新規のクレジットカードが作れないということです。
異動情報はすべての信用情報機関に伝えられているため、どこの会社にお願いしても審査にとおらなくなります。
またクレジットカードと同時に、ETCカードも作れなくなります。
もはや高速道路の利用に欠かせなくなったETCカードですが、これが使えなくなるのはとても不便です。
ローンが組めなくなる
3つ目のリスクは、車や住宅などでローンを組めなくなることです。
銀行からの信用情報にもバツが付いており、「返せる保証なし」の顧客にはローンを組めません。
「あの車が欲しい」などという時には、ローンによる分割払いで購入することが多いですが、周りと同じような買い方は難しいでしょう。
お金を借りれなくなる
4つ目のリスクは、ローンが組めなくなるのと同じように、消費者金融からもお金を借りれなくなることです。
過去に金融事故を起こした人にお金を貸しても、返ってこない可能性が高いと判断されてしまいます。
そして、一般の消費者金融からお金を借りれなくなることは、ブラックリストに載る一番のリスクになることもあります。
たとえば一般の消費者金融にお金を借りれない上に、家計が回らなくなって生活できない状況だったとしましょう。
そうなると次にお金を借りに行くのはいわゆる闇金と呼ばれるような、違法の消費者金融業者です。
違法の消費者金融からお金を借りるとどうなるかは割愛しますが、なかなか普通の生活に戻ることはできません。
ブラックリストに載ってしまったからこそ、堅実にお金を稼いで信用を回復する姿勢が必要なのです。
家族がブラックリスト入りしている場合は
親や夫、妻など、家族がブラックリスト入りしていたらクレジットカードは作れないのでしょうか。
実際そのようなことはなく、家族がブラックリスト入りしていたとしてもクレジットカードは作れます。
信用情報機関に登録されるのはあくまで個人情報で、家族情報は記録されないからです。
もしあなたがクレジットカードを作れないのであれば、家族ではなく自分に原因があるのかもしれません。
ブラックリストからの信用回復方法
すでにブラックリストに載ってしまった方が、信用回復し通常どおりクレジットカードが作れるようになるにはどうすればいいのでしょうか。
ブラックリストの信用回復は「時効」のみ
基本的に、ブラックリストから信用回復する方法は「時効」しかありません。
すべての信用情報機関に金融事故情報が共有されていることから、一般的に「このクレジットカード会社なら可能」という抜け道はありません。
各金融事故情報の時効期間は以下のとおりです。
- クレジットカード・ローンなどの返済遅れ:すべて完済し終わった日から最大5年間
- クレジットカードの強制解約:事象発生した日から最大5年間
- 任意整理・特定調停・個人再生:金融機関との手続きを終えた日から最大5年間
- 自己破産:裁判所から「支払い能力なし」と認定された日から最大10年間
所定の期間が経てば、金融事故情報は自動的に消えるとされています。
この期間が長いと感じる方もいるかもしれません。
しかし、5年間ないし10年間は定職に就くなどで、安定した収入を得るようになるために与えられた期間でもあります。
そういう意味での信頼回復期間だと思って、堅実に働き、節制した暮らしを心がけるのが二度の失敗を防ぐ一番の方法でしょう。
身に覚えのない信用情報は解除申請できる
基本的に、信用情報の削除は時効以外にはありません。
しかし万が一に、身に覚えがない情報であったり、期間を過ぎても自動的に削除されていない場合があります。
そういった場合は、信用情報が登録された金融業者に削除申請すれば金融事故情報を削除できます。
信用情報の変更や消去は、運転免許証などの本人確認書類があれば申込可能です。
詳しくはその情報が登録されているであろうクレジットカード会社や銀行、消費者金融などに問合せしてみましょう。
ブラックリストでも作れるクレジット系カード
ここまではブラックリストに載ってしまったらクレジットカードが作れないと述べてきました。
しかしブラックリストに載ってしまった人でも、作成可能なカードがあります。
どうしてもキャッシュレスカードが必要なのであれば、この項で紹介しているものをお試しください。
デビットカード
デビットカードは銀行が発行している口座連携型カードです。
正確にはクレジットカードではないのですが、それらと同様に普段の買い物やWebショッピングで利用できます。
デビットカードを使った瞬間に、連携している銀行口座からお金が引き落とされる仕組みです。
つまりクレジットカードのように、お金を一時的に立て替えてもらう必要がないので「信用」が必要ありません。
そういった理由から、デビットカードはブラックリストに載っていても作れるカードとなっています。
プリペイド(デポジット)カード
プリペイド(デポジット)式カードもブラックリスト入りの状態で作れます。
プリペイドとは「前払い」の意味で、事前にカードに入金しておくことで、キャッシュレス決済ができる仕組みです。
プリペイドカードの入金額より購入額の方が高い場合は、決済できません。
つまりクレジットカード会社に借金する必要がないので、カード会社側にとっても安全なカードとなります。
家族カード
家族カードとは、最初にクレジットカードを契約した人が本会員となり、その家族もカードを発行できる仕組みです。
たとえば夫がブラックリスト入りの場合は妻が本会員になることで、妻の家族カードとして夫も同様のものを手に入れられます。
複数作れる家族カードですが、支払いはすべて本会員が行います。
基本的に家族カードを作るときに審査されるのは「本会員と生計を共にしている家族」かつ「18歳以上」であることのみです。(カード会社によって違いがある可能性がありますので、事前にお確かめください)
つまり、家族カードを作る人の個人信用情報が審査で問われることはありません。
ブラックリストに載る金融事故は起こさない
この記事では、クレジットカードのブラックリストについて紹介してきました。
しかし最後に言いたいのは、「ブラックリストに載るような金融事故は徹底的に避けましょう」ということです。
一度ブラックリストになると、クレジットカードが作れないことをはじめ、さまざまな生活上の不自由を被ることになるので、十分にお気を付けください。
もし既に「ブラックリストに載ってしまった」という方がいましたら、信用回復方法、ブラックリストに載ってしまった人でも作れるクレジット系カードを以下にまとめていますのでご覧ください。
- 基本的に信用回復方法は時効しかない
- 身に覚えがない場合は、金融機関に申請して解除が可能
- デビットカード
- 家族カード
- プリペイド(デポジット)カード
ブラックリストに載ってしまったら、5年~10年という時間が経つことで信用が回復します。
その時間は誠実に働いたり、支出を抑えたりして生活を改めるための期間でもあるのです。
生活の質を高めるためにも、クレジットカードでの家計管理はきちんと行っていきたいですね。