寄附した翌年の控除を行いつつ、各自治体からうれしい返礼品がもらえる制度の「ふるさと納税」。
そこで気になるのが、手続きの流れや申し込み期限ではないでしょうか。
当記事では、わかりにくいふるさと納税の納付期限や、期間限定のお得な情報について解説していきます。
期限に間に合わなかった……なんてならないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
- ふるさと納税の期限は特に決まっていない
- ワンストップ特例制度は寄附年の翌年1月10日まで
- 時間に余裕を持った申請で確実にふるさと納税を行う
- 給与所得者、自営業者で納付方法が異なるので要チェック
- その季節が旬の返礼品は人気のため狙い目
ふるさと納税の申し込み期限はいつまで?
結論から言うと、ふるさと納税を行える期間は特に決まった期限はありません。
ただし、「所得税の還付」と「住民税の控除」が適応される期間について、誤解が発生しやすいので注意してください。
また、確定申告で申し込む場合とワンストップ特例制度を利用する方法で、当年度の所得税の還付や翌年の住民税の控除に関する期限が異なります。
それぞれ細かい内容について解説していきましょう。
ふるさと納税を行える期間について
基本的にふるさと納税を行うと、当年度には所得税の還付、翌年度には住民税の控除の対象となります。
ここで勘違いしやすいのが、住民税の控除が行われるのは翌年の住民税という点です。
原則としてふるさと納税による住民税の控除を行いたい場合、前年の12月31日までにふるさと納税の手続きを行う必要があります。
さらにイメージを掴みやすいように、2019年・2020年度を例に具体例を紹介していきましょう。
- 「2020年度」の住民税から控除適応
- 「2021年度」の住民税から控除適応
年をまたいで1月上旬に手続きが行われた場合は、そこから翌年の住民税への控除が適応されます。
さらに、受領証明書に記載されている受領日は寄附年の12月31日までのものが有効となります。
2021年度の住民税に対してふるさと納税による控除を適応させたい場合、受領証明書に記載されている入金日が2020年12月31日までとなるよう、手続きしなければなりません。
金融機関の営業日や郵送期間などを考慮し、12月早めに締め切りを設ける自治体もありますので、年末にふるさと納税を申し込まれる方は各自治体・支払い方法ごとの締め切り日に十分、注意してください。
ワンストップ特例制度の申し込み期限
給料所得を収入源として働く人々が、ふるさと納税を利用する時に活用するのがワンストップ特例制度。
会社員として働く、数多くの方々の利用が予想される制度です。
ワンストップ特例制度を利用した場合は、翌年の住民税から控除が行われます。
そこで、ふるさと納税を行った翌年の住民税を控除したい場合、受領証明書に記載されている受領日が寄附年の翌年1月10日までのものが有効となります。
ただし、ワンストップ特例制度を利用した場合でも、12月早めに締め切りを設ける自治体が存在しますので、注意しましょう。
ふるさと納税の手続きの流れについて解説
収入形態によって手続きが異なるため、どうしても手続きがわかりづらい「ふるさと納税」。
勘違いにより手続きがうまく行かず、ただ高い買い物をしただけの“失敗”を招いてしまうと目も当てられません。
そこで、勘違いしやすいふるさと納税の手続きについて、詳細を解説していきます。
ワンストップ特例制度とは?
画像引用元:総務省|ふるさと納税ポータルサイト|トピックス|制度改正について(2015年4月1日)
ワンストップ特例制度は、確定申告を行う必要がない給与所得者でも簡単な書類申請でふるさと納税を利用できる制度。
「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」の送付で完結するため、確定申告での寄附金控除と比べて手間が少ないのが大きなメリットです。
また給与所得者であっても、一定の条件を満たしていない場合はワンストップ特例制度を利用できないケースもあります。
そこで、ワンストップ特例制度を利用する条件や、給与所得者でも確定申告が必要な条件について、詳しく解説していきましょう。
ワンストップ特例制度を利用する条件
ワンストップ特例制度を利用するにあたり、以下の制限が存在します。
- 確定申告が必要な条件を満たしていない場合
- ふるさと納税を行う申込先が5つ以内
例を挙げると、副業で20万円以上の所得がある場合は確定申告の必要条件を満たしているため、ワンストップ特例制度を利用できません。
また、申し込み先が5つ以上になる場合、ワンストップ特例制度は利用できないため確定申告での申請が必要となります。
確定申告時には事前に郵送される「寄附金受領証明書」が必要になるので、紛失しないようしてください。
確実に手続きを行い、トラブルを未然に防止するためにも早めの申請を心がけましょう。
次に、給与所得者でも確定申告が必要な条件は、以下の通りとなります。
- 年収2000万以上の給与所得者
- 一定の給与所得を受けている会社が2ヶ所以上の場合(年間20万円以上は特に注意)
- 副業の収入が20万円以上を超える場合
- 高額な医療費控除や、住宅購入およびリフォームを行い確定申告により税金の控除を受けた場合
上記に当てはまる方は、給与所得者でもワンストップ特例制度を利用できないので注意が必要です。
また、給料所得者の場合、特に注意しなければいけない点は医療費控除を利用するために確定申告を行う場合です。
事前にワンストップ特例制度で申請を行った後に確定申告を行うと、ワンストップ特例制度の申請は無効になります。
ワンストップ特例制度を利用する場合
ワンストップ特例制度の利用方法について、申請に必要な書類は以下の2点です。
- 寄附金税額控除に係る申告特例申請書
- マイナンバーカード(もしくは通知カードかマイナンバーが記載された住民票+本人確認書類)
次に、ワンストップ特例制度の申請手順について順を追って詳細を説明しましょう。
1「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」へ必要事項を記載
画像引用元:保存版!ワンストップ特例制度 | ふるさと納税 [ふるさとチョイス]
ワンストップ特例制度を利用するには必要事項を記載した「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を用意する必要があります。
「楽天」や「さとふる」を利用する場合は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書の送付を要望する」という項目が申し込み時に用意されています。
申請書の申し込みを忘れてしまった、あるいは申請書を紛失してしまった場合は、寄附先の自治体へ直接連絡を行い、送付してもらうことも可能です。
「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」の記入項目は、以下の通りです。
- 「整理番号(右上)」以外、太枠内の項目を全て記載
- 「当団体に対する寄附に関する事項」に、寄附を行なった年月と金額を記入
- ①と②の内容に、当てはまっている場合はチェック(当てはまっていない場合は、ワンストップ特例制度を利用できません)
- 受付団体名には、寄附先となる自治体名を記入
また記入後には記入漏れがないよう、しっかり確認を行いましょう。
2必要書類、身分証明証のコピー等を準備
ワンストップ特例制度の利用にあたり、「本人確認書類」と「マイナンバー」のコピーが必要になります。
マイナンバーカードをお持ちであれば、裏表のコピーを用意するだけで申請が可能です。
通知カードのみの場合は、合わせて以下の本人確認書類が必要となります。
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- パスポート
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
- 在留カード
- 特別永住者証明書
どちらもない場合は、マイナンバーが記載された住民票と、上記の本人確認書類が必要となります。
3期限内までに自治体へ返送
書類の準備が完了したら、各自治体へ提出します。
送付先の住所は各自治体へ問い合わせてください。
なお、複数の自治体へふるさと納税を行っている場合は、各自治体毎に書類を郵送する必要があるため注意しましょう。
このように、帳簿記載が必要な確定申告と比べて、簡単に手続きが行える大変便利な制度となっています。
確定申告で申請する場合
ふるさと納税の申請を確定申告により行う場合は、特に申請期限はありません。
ただし、申請時から翌年の住民税から控除を行いたい場合は、12月31日までにふるさと納税の申請を行う必要があります。
翌年の住民税から控除を行いたい場合はワンストップ特例制度と違い、申し込み期限が少し短くなる点に注意しましょう。
さらに、ふるさと納税の申請を確定申告で行う場合は、以下の物が必要となります。
- マイナンバーカード(通知カードの場合は、本人確認書類も必要)
- 印鑑
- 還付金受取用口座通帳
- 対象期間の源泉徴収票
- 寄附金受領証明書
確定申告書作成ソフトなどを利用して、実際に税務者へ持ち込むか、郵送で確定申告の手続きを行います。
確定申告で、どうしてもわからない点は税務署で相談することも可能です。
ただし、確定申告初日である2月16日、最終日である3月15日付近は非常に混雑します。
わからない点を実際に相談する場合は、ピークを避けた時期に足を運ぶと良いでしょう。
寄附金受領証明書を紛失しないように注意!
寄附金受領証明書を紛失した場合は、各自治体へ直接問い合わせを行い再発行を行う必要があります。
自治体によって対応が様々な上、確定申告の期限となる3月15日までに準備および申請を済まさなければなりません。
最悪、間に合わなかった場合は、翌年以降5年の間に利用することができる「還付申請」を行います。
段取り良くふるさと納税の申請を進めるためにも、寄附金受領証明書を紛失しないように十分に注意しましょう。
ふるさと納税のうれしい特典
ふるさと納税は2,000円の自己負担を行うことにより、返礼品を受け取りつつ控除を受けることができるうれしい制度です。
本来であれば支払うだけで何も残らない税金ですが、手続きを踏むことにより納税しつつ豪華な特産品を楽しむことができます。
そこで、ふるさと納税でのメリットや、知らなければ損する豆知識を紹介していきます。
是非、ふるさと納税を利用する際の参考にしてみてください。
来年度の住民税を控除
ふるさと納税による控除が行われる適応期間は、翌年の住民税・所得税となります。
来年度の税金を先払いしつつ、返礼品がもらえる制度と考えるとイメージしやすいでしょう。
ふるさと納税を行った年に、すぐに控除が行われる訳ではないので注意が必要です。
さらに、翌年の住民税の総額からふるさと納税の控除分が引かれます。
具体例として、給与所得者がワンストップ特例制度を利用して1万円の納付を行った場合を挙げましょう。
- 「翌年の住民税の総額」から「1万円-手数料2000円」を控除
- 「控除された住民税の総額」から「12ヶ月分の分割」を行う
控除分を差し引いた1年間の住民税が決定するのは、住民税決定通知書が発行される5〜6月です。
控除額は住民税決定通知書で確認
ふるさと納税で控除された金額は、毎年5〜6月に発行される住民税決定通知書に記載されます。
控除分の確認は、住民税決定通知書の「寄附金控除」や「税額控除額」という項目から行えます。
また、住民税決定通知書は「児童扶養手当」「育児手当」、住宅ローンの申し込み等に必要な書類となります。
一度紛失すると、原則として再発行は不可能なので、1年間は大切に保管しましょう。
ふるさと納税の返礼品は季節によって変動
ふるさと納税は期限内であれば、申し込み自体はいつでも行うことができます。
ですが、特産物となる季節物の返礼品は、本来の味を楽しんでもらうために旬の季節を中心に取り扱っています。
そのため、申し込み期限ギリギリとなる11〜12月は返礼品の選択肢が限られてしまいます。
そこで計画的に季節の味覚を味わうために、季節毎に取り扱う返礼品の代表例を挙げていきます。
春(3〜5月)に狙い目の返礼品
- いちご
- ホタテ
- ハマグリ
- カツオのタタキ
特に、春に旬を迎える返礼品で大人気なのが調理不要で手軽に食べられる「いちご」です。
福岡県産の「あまおう」や栃木名物の「とちおとめ」、希少性が高く高額な白いちご「天使のいちご」など、取り扱う品種も様々。
なかなか手が出せない高級品種のいちごは、ふるさと納税が絶好の機会です。
夏(6〜8月)に狙い目の返礼品
- マンゴー
- さくらんぼ
- メロン
- 桃
- ウニ
- とうもろこし
夏に旬を迎えるフルーツは、高級な返礼品が目白押しとなります。
そのため人気の高い返礼品は、次々と受付終了になってしまうことも珍しくありません。
絶対に抑えておきたい返礼品の目星を付けたら、先に事前予約を行ってしまう方法が確実です。
「さくらんぼ」「桃」は、短期間で傷みやすい生鮮食品で旬の期間も短いのが特徴です。
ふるさと納税の返礼品でも、特に取り扱う期間が短いので注意しましょう。
秋(9〜11)に狙い目の返礼品
- 栗
- 柿
- ぶどう
- りんご
- 天然うなぎ
- 米
ふるさと納税でも豊富な種類の返礼品が出回るのが秋です。
特に、絶大な人気を誇るのが、寒暖差の激しい地域で甘みが増すぶどうの「シャインマスカット」。
種なしで手軽に食べることができる高級ぶどうで、次々と予約受付が終了してしまう人気の返礼品です。
冬(12〜2月) に狙い目の返礼品
- 肉類
- 牡蠣
- カニ
- 伊勢海老
冬は魚介類、肉類を中心とした返礼品の取り扱いが多い季節です。
特にふるさの納税の最終期限となる12月は注文が集中するので、早めの予約しましょう。
また、ワンストップ特例制度を利用する場合、1月10日までに自治体必着で申請を行えば手続きは間に合います。
勘違いしやすいですが、翌年に返礼品が届いても、手続き自体を済ませておけば問題ありません。
ふるさと納税の申し込みは計画的に!
- 「ワンストップ特例制度」と「確定申告」で申し込み期限が違うので注意
- 期限ギリギリの手続きは危険、期間に余裕を持った申し込みがおすすめ
- 期間限定の返礼品を受け取るためには事前予約で計画的に
ここまで、ふるさと納税の申し込み期限手続きの流れについて解説しました。
翌年の控除を確実に行いつつ、期間限定の返礼品を楽しむために、余裕を持った申請を行いましょう。
ふるさと納税は期間限定で楽しめる味覚を、数多く取り揃えた貴重な制度です。
より一層おトクに制度を利用するために、当記事が事前準備の参考としてお役に立てれば幸いです。