法人カードとは、会社や個人事業主などの法人向けに作られたクレジットカードのことです。
ビジネスでは、日々さまざまな経費が発生します。経理作業が効率化できる法人カードの導入を検討する方や企業も多いでしょう。
しかし、ビジネスカード・コーポレートカードなどさまざまな名称のカードがあり、違いが明確に分からない方も多いのでないでしょうか。
そこで、法人カード・ビジネスカード・コーポレートカードの違いについて解説します。
- ビジネスカード・コーポレートカードなどを総じて法人カードという
- どちらも企業・個人事業主向けのクレジットカード
- ビジネスカードは中小企業・個人事業主向け、コーポレートカードは大企業向け
- 明確な違いはなく、カード会社によって異なる
カード名 | セゾンプラチナ・ビジネス アメリカン・エキスプレス(R)・カード | アメックスビジネス ゴールド | ダイナースクラブ ビジネスカード | セゾンコバルト ビジネス・アメックス |
年会費 | 22,000円 条件付きで11,000円 | 36,300円 | 27,500円 | 1,100円 |
還元率 | 0.5%〜1.0% | 0.33~1.0% | 0.3%~1.0% | 0.5%~ |
国際ブランド | American Express | American Express | diners club | American Express |
キャンペーン | ご入会後4ヶ月以内に 200万円カード利用で 150,000ボーナスポイント プレゼント | なし | 初年度年会費無料 | |
申込対象年齢 | 20歳以上 個人の方も申込可能 | 20歳以上 | ダイナースクラブ 所定の基準を満たす方 | 20歳以上 |
発行スピード | 最短3営業日 | 2〜3週間 | 2〜3週間 | 最短3営業日 |
公式サイト | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
法人カードとはどんなクレジットカード?
画像引用元:法人向けクレジットカードのご案内|法人カードなら、JCBカード
法人カードとは、企業や個人事業主向けのクレジットカードのことを言います。会社の経費をクレジットカードでまとめて支払うことができます。
名義は個人ですが、法人口座から一括で引き落とされ、請求書や振込手続きといった煩雑な事務処理の負担が減るのが特徴です。
また、振込手数料などのコストが抑えられるほか、利用履歴が一目で分かるため、管理しやすいのも特徴です。
法人カードにはいくつか種類があり、ビジネスカード・コーポレートカードも法人カードに含まれます。
法人カードと個人カードの違いは?
法人カードは企業・個人事業主向けのクレジットカードであるため、個人カードとは区別されます。
個人カードと法人カードには、以下のような違いがあります。
- 決済口座の違い
- 支払い方法の違い
- 使用目的の違い
- 追加カードの違い
- カード利用枠の違い
決済口座の違い
個人カードは個人名義の口座から支払うのに対して、法人カードは基本的に法人名義の口座から引き落とされます。
支払い方法の違い
法人カードの支払いは、一括払いが基本です。分割払い・リボ払いなどが利用できないカードがほとんどです。
一方で、個人カードの支払いは分割払い・リボ払いなどを利用できます。
使用目的の違い
家賃や水道・電気・ガスなどの光熱費、日用品などの購入代、旅行代、ETCカード代などの支払いを行えるのが個人カードです。
一方で法人カードは、会社で使う備品や交通費、光熱費、出張代などの経費を支払うためのカードです。
追加カードの違い
個人カードは、家族が使うための家族カードを数枚追加できることが多いです。一方、法人カードは、従業員が使うカードを追加で発行できます。
法人カードの追加カードは、発行枚数の上限が定められていないカード会社もあり、たくさんの枚数を発行することも可能。
ただし、追加カードを増やした分年会費も高くなります。
カード利用枠の違い
法人向けのカードは、会社の経費をまとめて支払うためのものなので、個人カードと比べてカード利用枠の上限が高い傾向にあります。
ビジネスカードとコーポレートカードの違い
画像引用元:法人向けクレジットカードのご案内|法人カードなら、JCBカード
ビジネスカード・コーポレートカードはどちらも法人カードに含まれると説明しました。
2つのカードの共通点と違いについて、以下で解説します。
ビジネスカードとコーポレートカードの共通点は?
説明したとおり、ビジネスカードとコーポレートカードはどちらも法人カードの1つで、会社の経費を決済できる点で共通しています。
とちらも基本的には法人口座から一括で引き落とされます。そのため、事務処理の効率化や振込手数料の削減などにつながります。
つまり、どちらも法人向けのカードであり、基本的な機能は同じだと言えます。
ビジネスカードとコーポレートカードの違いは?
ビジネスカードとコーポレートカードには厳密な区分があるわけではなく、カード会社によっても呼び方が異なります。
そのため一概には言えませんが、一般的には法人の規模によって区別されています。
- ビジネスカード:中小企業・個人事業主向け
- コーポレートカード:大企業向け
ビジネスカードは主に中小企業・個人事業主向け、コーポレートカードは主に大企業向けである点が一般的な違いです。
ビジネスカードは使用者の合算でカード利用枠が定められていることが多いのに対して、コーポレートカードは使用者ごとに設定できるカードが多いのも違いだと言えます。
また、追加カードを発行する場合、基本的にはどちらのカードも追加するだけ年会費が高くなります。
しかし、コーポレートカードの中には追加カードが無料で発行できるカードもあります。
ビジネスカードとコーポレートカードを比較
クレジットカード会社が扱っているビジネスカードとコーポレートカードについて、いくつか例を見てみましょう。
ここでは、三井住友カード・JCB・三菱UFJニコス・UCカードを例に挙げ、比較してみます。
三井住友カードの法人カード
三井住友カードが提供している「三井住友ビジネスカード」と「三井コーポレートカード」を比べてみましょう。
以下がそれぞれの特徴です。
項目 | 三井住友ビジネスカード | 三井住友コーポレートカード |
---|---|---|
対象 | 中小企業向け(カード使用者は20名以下が目安) | 大企業向け(カード使用者は20名以上が目安) |
決済口座 | 法人口座 | 法人口座・個人口座 |
カード利用枠 | 原則20~150万円 | 総利用枠に加え、カード利用者ごとに利用枠を設定 |
キャッシング利用枠 | 海外キャッシュサービスのみ0~30万円 | 海外・国内ともに利用可 |
三井住友カードでは、カードの使用人数の目安が記載されており、ビジネスカードは中小企業向け、コーポレートカードは大企業向けであることが分かります。
また、ビジネスカードのカード利用枠は原則20~150万円であるのに対して、コーポレートカードは総利用枠に加えてカード利用者ごとに利用枠を設定することが可能です。
JCBの法人カード
JCBは、中小企業・個人事業主向けの「JCB法人カード」と大企業向けの「JCBコーポレートカード」「JCBビジネスカード」を提供しています。
以下がそれぞれの特徴です。
項目 | JCB法人カード | JCBコーポレートカード | JCBビジネスカード |
---|---|---|---|
対象 | 中小企業・個人事業主向け | 大企業向け | 大企業向け |
決済口座 | 法人口座 | 法人口座 | 個人口座 |
このように、JCBでコーポレートカード・ビジネスカードと呼ばれているカードは共に大企業向けです。決済口座が法人口座なのか、個人口座なのかによって区別されています。
三菱UFJニコスの法人カード
三菱UFJニコスは、「MUFGカード ビジネス」「MUFGカード コーポレート」を提供しています。
以下がそれぞれの特徴です。
項目 | MUFGカード ビジネス | MUFGカード コーポレート |
---|---|---|
対象 | 中小企業・個人事業主向け | 大企業向け |
決済口座 | 法人口座 | 法人口座・個人口座 |
カード利用枠 | 40万~80万円(使用者の合算枠) | カード使用者ごとに設定 |
見てわかるとおり、ビジネスは中小企業・個人事業主向け、コーポレートは大企業向けに提供されています。
また、ビジネスはカード利用枠が使用者の合算で40~80万円となっているのに対して、コーポレートのカード利用枠はカード使用者ごとに設定することができます。
UCカードの法人カード
UCカードは、「UC法人カード 一般」「UCコーポレートカード 一般」という法人向けカードが提供されています。
以下がそれぞれの特徴です。
項目 | UC法人カード 一般 | UCコーポレートカード 一般 |
---|---|---|
対象 | 個人事業主・中小企業向け | 大企業向け |
決済口座 | 法人口座 | 法人口座・個人口座 |
カード利用枠 | 最大300万円 | 相談にて決定 |
キャッシング利用枠 | なし | 使用者ごとに決定 |
中小企業・個人事業主向けのカードは「法人カード」と呼ばれており、大企業向けのカードは「コーポレートカード」となっています。
実際に提供されている法人向けカードの例を見て分かるとおり、カード会社によってビジネスカード・コーポレートカードの呼び方や内容は異なります。
そのため、法人カードの利用を検討している場合は、それぞれの特徴や内容についてしっかり確認し、理解することが大切です。
法人カードを導入することのメリット
法人カード(ビジネスカード・コーポレートカード)には、以下のようなメリットがあります。
- 経費の事務手続きが簡単になる
- 立替払いの必要がない
- 経費の計上漏れをなくせる
- 個人・法人利用をしっかり区別できる
- ポイントが貯められる
- さまざまな付帯サービスを利用できる
1つずつ、詳しく見ていきましょう。
経費の事務手続きが簡単になる
法人カードを導入する大きなメリットは、経費の事務手続きが簡単になることです。
通常、経費の支払いを現金で行う場合、経費が発生するたびに領収書の管理や経費の精算などを行わなければならず、時間がかかってしまいます。
法人カードを使えば、会社で使う備品や出張費などのさまざまな経費をまとめて支払うことができ、事務手続きにかかる時間を大幅に削減できます。
さまざまな経費をまとめて法人カードで支払えば一括で利用明細を見ることができるため、いつ誰が何の経費を支払ったのかが一目瞭然。管理もラクにできます。
また、経理システムと連携させれば入力作業も削減できます。
立替払いの必要がない
立替払いの必要がないのもメリットの1つです。現金で経費を支払う場合、備品代や出張費などを従業員が立て替えておく必要があります。
しかし、法人カードを従業員に発行すれば、現金のやり取りが必要ないため、立替払いをする必要がありません。
従業員にとって助かるだけでなく、会社にとっても作業の効率化につながります。また、現金のやり取りがなたいめ、紛失や相違などの心配もなくなります。
経費の計上漏れをなくせる
経費の計上漏れをなくせるのも大きなメリットです。
経費の支払いを現金で行う場合、経費の請求を忘れてしまったり、領収書を紛失して経費の手続きができない、といった問題が起きることがあります。
経費をまとめて法人カードで支払えば、支払った経費が自動で利用明細書に反映されるため、請求のし忘れや領収書の紛失などのトラブルが起きる心配がありません。
個人・法人利用をしっかり区別できる
ビジネス上の経費を法人カード、プライベートの支払いを個人カードで支払うことで、個人利用分と法人利用分を明確に分けられます。
見直したときの整理がしやすいのはもちろん、会社の経理の透明化にもつながります。
ポイントが貯められる
法人カードの利用でも、個人カードと同じようにポイントを貯めることができます。
経費の支払いによってポイントを貯めることができ、貯まったポイントを経費の支払いなどに充てることができるため、経費削減につながります。
個人の利用と比べて、法人カードの利用金額は高額になりやすいため、ポイントが貯められるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
ポイントを貯められるかどうかやポイントの還元率はカード会社によって異なるため、よく確認してくださいね。
さまざまな付帯サービスを利用できる
画像引用元:法人カード(コーポレートカード・ビジネスカード)のメリットやお申し込みのご案内|三井住友VISAカード
法人カードによっては、さまざまなサービスが付帯されている場合があります。
海外・国外旅行傷害保険が付帯されていたり、空港のラウンジが利用できるサービスなど、ビジネスマンにとって便利なサービスが多くあります。
例えば、三井住友カードでは、以下のような法人サービスが利用できます。
- 海外・国外旅行傷害保険(クラシックは最大2,000万円、ゴールドは最大5,000万円補償)
- じゃらんビジネス用ホテル予約
- アスクルサービス
- 日産レンタカー・タイムズカーレンタル
- 福利厚生代行サービス
- 国内ゴルフエントリーサービス 他
JCBでは、以下のような法人向け会員サービスが提供されています。
- 弥生会計・freee(会計サービス)
- 法人向けインターネット出張手配システム
- じゃらんコーポレートサービス
- アスクルサービス
- JCBタクシーチケット
- JCBトラベル 他
なお、カードの種類によっても利用できるサービスが異なるため、よく確認してくださいね。
企業に合った法人カードを選ぶことが大切
法人向けカードのについて、改めて確認しておきましょう。
- ビジネスカード・コーポレートカードなどを総じて法人カードという
- どちらも企業・個人事業主向けのクレジットカード
- ビジネスカードは中小企業・個人事業主向け、コーポレートカードは大企業向け
- 明確な違いはなく、カード会社によって異なる
ビジネスカード・コーポレートカードなどを総じて法人カードと言います。
どちらも企業・個人事業主向けのクレジットカードで、さまざまな経費の支払いや管理ができます。
ビジネスカードは主に中小企業・個人事業主向け、コーポレートカードは主に大企業向けである点が違いです。
とは言え、明確な基準があるわけではなく、カード会社によって内容や特徴は異なります。
そのため、カードの機能などをよく確認して企業に合った法人カードを選ぶことが大切です。
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